SUPER EIGHTの村上信五(44)が21日、大阪・東大阪市で行われた近大の卒業式にゲストスピーカーとしてサプライズで登壇しました。「大人が悪いんやなく、社会のシステムの問題じゃないかな」。軽妙な関西弁のスピーチの中で、印象に残った言葉でした。

壇上に上がると「みなさん、卒業できてうれしいか~」と呼びかけ、約6000人の卒業生が「お~!」。つかみはOKです。

登壇までの約1時間、粛々と式典が進む中でのサプライズでした。「真面目な話ばっかりだったから若干、眠気が襲ってきている方もいるかも。僕も経験上、小学校のころ、大人の話はむちゃくちゃ嫌いでした(笑い)」と会場を和ませ、「社会に出ると、もっと大人の話が嫌いになります」と卒業生のハートをぐっとつかみました。

卒業生が耳にタコができるほど聞いてきたのが、「社会に出たらたいへんだぞ」「挑戦しよう。失敗を恐れるな」といった定番の激励でしょう。そこをあえて村上は、人生の先輩として伝えたいのは「普通ってそんなに悪くないぞ」だと語りました。

社会が若者に「個性」を求める一方で、コンプライアンスが重要視される空気の中では「出したい個性を出せなくなってきている」とも指摘しました。息苦しさの原因を「みんなが悪いわけでも、大人が悪いわけでもなく、社会のシステムの問題じゃないかな」ととらえ、「個性は生活の中で勝手に生まれてくるもの」と結びました。

10代の頃からエンタメ界で活躍し、最近は農業分野での活動や、自身をモデルにしたバーチャルタレント「AIシンゴ」の開発、著書「半分論」(幻冬舎)の出版など多彩な活躍が注目されています。壇上で繰り返した「普通ってそんなに悪くない」。個性を無理にひねり出すなというアドバイスは、経験に裏打ちされた“ナマの言葉”でした。

「無理矢理なチャレンジしたりとか、やっぱり得手不得手は人間ありますから、どうしてもできないこと、苦手なことを頑張るっていうよりも、自分の『普通』という感性、感覚に見合ったところに向き合っていけば、楽しい人生になる」

個性は、叫べば出るものではありません。コンプラの空気は、これからも濃くなるでしょう。新社会人だけの話ではなく、職場でも家庭でも、正しさの空気が濃くなるほど、言葉は細っていきます。

最後の「普通を持ち帰ってほしい」というメッセージは、若者へのエールであると同時に、私たち大人への宿題でもあります。個性を求めながら、個性が出にくいシステムを温存していないか。卒業式の壇上から投げられた問いが、いまじわじわと効いています。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)

近大の卒業式にゲストスピーカーとしてサプライズで登壇した SUPER EIGHTの村上信五(撮影・松浦隆司)
近大の卒業式にゲストスピーカーとしてサプライズで登壇した SUPER EIGHTの村上信五(撮影・松浦隆司)
近大の卒業式にゲストスピーカーとしてサプライズで登壇した SUPER EIGHTの村上信五(撮影・松浦隆司)
近大の卒業式にゲストスピーカーとしてサプライズで登壇した SUPER EIGHTの村上信五(撮影・松浦隆司)