5日に亡くなった吉本新喜劇元座長の花紀京(はなき・きょう=本名・石田京三)さんの通夜が6日夜、大阪市内で行われ、最後の“付き人”で、花紀さんの芸風を最も濃く継承する新喜劇座長の内場勝則(54)が、夫人で同じく座員の未知やすえ(51)とともに取材に応じた。

 目を真っ赤にした夫妻は「ずっと、あの人を目標にしてきて…」。内場は駆け出し時代、新喜劇メンバーで初めて出会ったのが花紀さんだったといい、以来「なぜか飲みに連れて行ってくれたり、かわいがってくれた」。そんな縁から花紀さんの芸を勉強しようと、付き人のような世話を担当。吉本興業100周年を記念した舞台「吉本百年物語」では、花紀さん役を演じたこともあった。

 「すごい重圧でしたけど、でも、他の人にやられるぐらいなら、僕がやりたかった」。当時、すでに闘病に入っていた花紀さんが観劇することはなかったが、内場は「逆によかったです…見にきたら、怒られそうでしたから」と語った。

 一発ギャグに走らず、芝居の流れでボケ、笑わせることを身上とした花紀さんの芸風を引き継ぐ内場は「動きにしても、ネタにしても、まねになってはいけないけど、いつも師匠の言葉を意識はしています。これからも」と話した。

 しつけに厳しかった花紀さんだが、内場は「あまり怒られなかった」。一方で、未知は「私はほんま、めっちゃ怒られた」。舞台で気後れしがちだった未知には、いつも厳しく指導していたようだ。

 ただし、意外なこともあった。未知が花紀さんと、故岡八郎さん(後に岡八朗に改名)とともに初めて舞台に上がったとき「緊張しすぎて、頭が真っ白になって、セリフが全部飛んでしまい、舞台で泣いてしまったんです」。激しく怒られることを覚悟し、退団も意識して舞台裏に下がると、花紀さんは未知の頭をポンとたたき「お前のセリフ、誰もとれへんねんから、しっかりしゃべれよ」。

 責める言葉は一切なく、未知は「あれがなかったら、私はもう新喜劇にいなかった」とポツリ。厳しさと優しさを持ち合わせた大師匠を思い、涙していた。