ビートたけし(70)が29日、都内で、19年のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」の出演者発表会見に出席し、希代の落語家古今亭志ん生を演じることが発表された。作品中では、志ん生として高座で落語風に物語を紹介するナビゲーターも務め、1964年東京五輪までの日本の五輪史を描く物語と並行し、志ん生を通して昭和の庶民の日常も映し出す。
午後1時開始の会見の冒頭、「どうも、日馬富士です」とボケるあいさつで爆笑を誘った。同2時開始予定だった横綱日馬富士の引退会見直前だったこともあり、報道陣を含め世間が注目していたネタで会場をざわめかせた。
その後は真剣な表情になり、志ん生の落語に思い入れがあると明かした。子供の頃、親と見たことがあり、DVDや音源も持っているとし「落語家としては一番尊敬する人。その役が来たのはうれしくてしょうがない」と喜んだ。さらに「あまり仕事にはプレッシャーがあったことがないが、今度は久々に夜中に落語をやったりして、一応頑張ってます。国宝みたいな人だった。そんな感じが出ればいい。あとは(脚本家)宮藤官九郎さんのせい」とたけし節も織り交ぜ、意欲を示した。
「なぜ、俺を大河に使ってくれたのか意味が分からない」とこぼしつつ、03年「武蔵 MUSASHI」以来2度目となる大河に「大河は収録が長いので頭が痛くなる。どうにかならないか」と毒舌ぼやきも。若き日の志ん生を森山未来(33)が演じるが、森山には「俺になるんだから『ダンカンばかやろう』『何だばかやろう』という感じでいい」と、自身の口癖を“アドバイス”した。
ほかに、志ん生を取り巻く人物として神木隆之介、橋本愛、峯田和伸、川栄李奈、松尾スズキも出演する。【中野由喜】
◆ビートたけし 1947年(昭22)1月18日、東京都生まれ。73年お笑いコンビ、ツービート結成。82年開始のフジテレビ系「オレたちひょうきん族」などで人気に。毒舌ネタなどで漫才ブームの立役者となる。近年は立川梅春の名で落語を披露することも。本名の北野武として映画監督としても活躍。89年映画「その男、凶暴につき」で監督デビュー。97年「HANA-BI」が第54回ベネチア映画祭で金獅子賞獲得。
◆「いだてん」 主演を歌舞伎俳優中村勘九郎(36)と阿部サダヲ(47)の2人がリレー形式で務める。前半は勘九郎が日本人初の五輪選手金栗四三を、後半は阿部が64年の東京五輪招致に尽力した記者の田畑政治を演じる。前半は1909年の東京を舞台に「スポーツ維新『ストックホルム大会』編」と題し、マラソンの金栗と短距離走の三島弥彦の友情と同大会を描く。後半は「オリンピックの光と影『ベルリン大会』編」とし、田畑と東京高等師範学校校長だった嘉納治五郎が、スポーツ大国へと成長した日本に五輪を招致しようと奮闘する姿を描く。