世界3大映画祭の1つ「第71回カンヌ映画祭」(5月8~19日、フランス)の、最高賞パルムドールを争うコンペティション部門に、是枝裕和監督(55)の「万引き家族」(6月8日公開)が出品される。12日、映画祭事務局が発表した。是枝監督はコンペ部門出品は5回目。今年1月の撮影現場では作品への思いを語った。コンペ部門にはほかに、浜口竜介監督(39)の「寝ても覚めても」(9月1日公開)が出品される。

 是枝監督にとって、コンペ部門は15年「海街diary」以来3年ぶり5回目、他部門も含めると7回目の参加となる。カンヌ常連だが「こんな小さな作品に目をとめていただいて感謝しています。素直にうれしいです」と謙虚にコメントした。パルムドール受賞となれば、日本人監督としては97年「うなぎ」の今村昌平監督以来、21年ぶり。期待もかかるが、是枝監督は「本来の目的である、映画という豊かな文化に触れて、映画作りの課題を見つけるようなゆったりした時間にしたい」と話した。

 「万引き-」は、生計のために家族ぐるみで万引をする家族とそのきずなを描いた。是枝監督の原作、脚本によるオリジナル作品で、リリー・フランキー(54)安藤サクラ(32)が夫婦を演じた。リリーは「この、ほこりまみれの物語が、華やかなカーペットを歩くことに希望を感じました」、安藤は「あこがれのカンヌ! しかもコンペティション部門! あの汚ったない家族がカンヌで赤じゅうたんとは! かっこいいなぁ」と、喜びを爆発させている。ほかに松岡茉優、樹木希林らが出演。

 浜口監督は世界3大映画祭への参加は初めて。同じ顔をした2人の男と、彼らの間で揺れる女性を描いた。東出昌大(30)が一人二役で主演し、唐田えりか(20)がヒロイン役。浜口監督は「とても光栄です。東出さん、唐田さんらの演技を素晴らしいと思いながら現場でながめていた身として、国際的な舞台へと届いたことを心からうれしく思います」。授賞式は現地時間5月19日。