アルツハイマー型認知症のため4月27日に死去していたことが分かった女優、タレント朝丘雪路さんと共演経験があった落語家桂文枝(74)が20日、所属事務所を通じてコメントを発表した。

 冒頭で文枝は「雪路さん、突然のお別れを告げなければならないなんて寂しすぎます」と悼んだ。

 初共演したときのことを振り返りながら「今から16年半前に、御園座での公演にお声掛けをいただきました。人生初の1カ月公演でした。ちゅうちょいたしましたが、せっかくのお誘いでしたので、お受けさせていただきました。落語家の役で、とても面白い内容でした。大変好評で、新宿コマ、梅田コマと公演し、その後も違う芝居で夫婦役を約5年ほど、やらせていただきました」と懐かしんだ。

 舞台では多くのアドバイスをもらった。「『三枝ちゃん』と呼んでいただき、慣れない舞台を丁寧に教えていただいた上に、こちらのアイデアも、すべて取り入れてくださいました。懐が深く、優しくて、明るい芝居の先生のような存在でした」。

 数え切れないエピソードもある。「1度、雪路さんに駆け寄る場面で、知らない間に、セリが下り始めていて、そこに落ちたことがありました」と驚きのエピソードを明かした。そのときの朝丘さんの受け答えが痛快だったという。「雪路さんに『教えてくださいよ』と言うと、『言おうと思ったら落ちてたのよ』と明るく笑われまして、とにかく、いつもあっけらかんとして、よく笑い、そしてよく食べる方でした」。

 最後に「歌も踊りもお芝居も、お芝居も新派ゆずりですから、なんでもござれの女優さんでした。華やかで、お上手で…。不世出の女優さんだと思います。もうお会い出来ないと思うと、寂しくて、悲しくて。ほんとによくしていただきました。舞台の場面の1つずつ、胸に秘めて、忘れないでおきます」と結んだ。