「万引き家族」などで助演女優賞を受賞した樹木希林さん(享年75)の代理として、孫でモデルUTA(21)が登壇した。マスコミの前で話すのは初めてだったが、祖母への感謝を素直に語り、堂々とレッドカーペットを歩いた。同作は作品賞、安藤サクラ(32)が主演女優賞を受賞。

UTAはこの日、希林さんがまつられている仏壇に「行ってきます」と声を掛けて出てきたという。今年6月にパリコレでモデルデビューしたが、マスコミの前でスピーチするのは初めて。この日のためにスーツをあつらえ、両親の本木雅弘(53)内田也哉子(42)からは「自然体で」とアドバイスをもらった。

「はじめまして。UTAと申します。祖母の代理で来ました。祖母は、いなくなった後も声が掛かるとは想像していなかったと思います。代わりを務めることが小さな恩返しになればと願っています」と、折り目正しくあいさつした。

希林さんとの思い出は温かい。家ではバーバと呼んでいたこと、初めての留学の時に付き添ってくれたこと、よく映画の試写会に連れて行ってくれたこと…。モントリオール世界映画祭に身の回りの通訳として同行した際は、ナイアガラの滝を訪ね2人でびしょびしょになって大笑いしたという。

UTAは「祖母の新しい作品を見ることはできませんが、残された映画に、今まで知らなかった祖母の姿や作品の豊かさを再発見できたらと思います」と話した。現在、米国の大学生で、モデルだけでなくバスケにも力を入れている。今後は「自分の世界を少しずつ広げていきたい」と夢を語った。

前年受賞者で盾授与者の尾野真千子(37)は「そして父になる」(13年、是枝裕和監督)で希林さんと共演した。尾野は「待っている時間も無駄にせず、食べている姿も芝居になっている。間近で見られたことが思い出」と振り返った。【小林千穂】