漫画家・吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)氏原作の人気漫画「鬼滅の刃」をアニメ映画化し、10月16日に封切られた「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」(外崎春雄監督)が29日、興行収入(興収)275億円を突破した。製作、配給のアニプレックスが30日、発表した。29日までの45日間で、興収275億1243万8050円、動員2053万2177人を記録。同262億円を記録した97年の米映画「タイタニック」を超え、日本歴代興収2位に躍り出た。

日本歴代最高の興収308億円を記録した、宮崎駿監督の01年のアニメ映画「千と千尋の神隠し」以下、過去、日本国内で興収250億円を突破したのは

<2>「タイタニック」(97年)262億円

<3>「アナと雪の女王」(14年)255億円

<4>「君の名は。」(16年)250億3000万円

の4作品のみだったが、「鬼滅の刃」は24日の段階で「アナと雪の女王」「君の名は。」を超えて歴代3位に浮上していた。

「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」は、公開から10日の10月25日時点で、興収107億5423万2550円、動員798万3442人を記録。「千と千尋の神隠し」が持っていた、興収100億円突破最速記録の25日を19年ぶりに15日間も更新した。さらに公開から17日の1日には、興収157億9936万5450円、動員1189万1254人を記録し、興収150億円を突破。8日には興収204億8361万1650円、動員1537万3943人、15日には興行収入233億4929万1050円、動員1750万5285人を記録した。

「鬼滅の刃」は、2016年2月15日発売の「週刊少年ジャンプ」で連載がスタートし、5月18日発売の同誌まで4年3カ月の間、休載なしで205話、掲載された。大正時代を舞台に、主人公竈門炭治郎(かまど・たんじろう、声=花江夏樹)が家族を殺した鬼と戦うために修業して「鬼殺隊」に入隊し、鬼と化した妹禰豆子(ねずこ、声=鬼頭明里)を人間に戻す方法を探して戦っていく物語。19年4月から9月までアニメが放送され、人気が爆発的に高まった。

今回の劇場版では40人以上の行方不明者を出しているという無限列車を舞台に、炭治郎たちと史上最強の敵・魘夢との激闘が描かれた。テレビシリーズにも出ていた鬼殺隊の最高位“柱”の1人で、炎の呼吸を使う炎柱・煉獄(れんごく)杏寿郎(声=日野聡)が、任務に挑む姿が初めて描かれ、後輩の炭治郎らに激励の言葉を投げかけるなど、おとこ気のある姿勢に共感の声が相次いでいる。

映像美も評判で、終盤に煉獄が上弦の参の鬼・猗窩座(あかざ、声=石田彰)と激闘を演じるシーンをはじめ、アニメを超え、実写の質感があると評価が高い。

「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」は、これまで

◆1週目(10月16~18日)興収46億2311万7450円、動員342万493人。

◆2週目(~25日)興収107億5423万2550円、動員798万3442人。公開10日目での興収100億突破は史上最速。

◆3週目(~1日)興収157億9936万5450円、動員1189万1254人。歴代興収ランキングでも、興収156億円の「アバター」(09年)を抜き、10位に浮上。

◆4週目(~8日)興収204億8361万1650円、動員1537万3943人。同203億円の「ハリー・ポッターと賢者の石」(01年)を超えて日本歴代5位に浮上。また、10月16日の初日から24日での興収200億円突破は最速。

◆5週目(~15日)興行収入233億4929万1050円、動員1750万5285人。

◆6週目(~23日)興収259億1704万3800円、動員1939万7589人。公開から39日での興収250億円突破も史上最速。

と日本映画史に残る興収、動員記録を打ち立て続けている。

公開7週目の週末28日も、興収5億5644万3300円、動員39万2017人、29日も興収4億4806万450円、動員32万31人と、鈍化傾向にはあるものの1日で興収4~5億円を記録し、前週からの1週間で16億円、興収を上積みしている。「千と千尋の神隠し」の興収308億円まで、あと33億。この勢いだと、年内にも「千と千尋」超えを果たす可能性が出てきた。