元サッカー日本代表監督の岡田武史氏(64)が、ハローキティと“緊急合体”を果たす日が来るとは思ってもみなかった。現在、サッカーJ3のFC今治のオーナーで代表取締役会長を務める岡田氏は16日、都内で行われた国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」が16年から展開する、企業や団体がブランディングを目的に製作した短編映画「ブランデッドムービー」を表彰する部門「BRANDED SHORTS」の舞台に登壇した。

席上で、世界最大の会計事務所デロイトトーマツのデジタル関連領域の専門サービス「デロイトデジタル」が同映画祭の新パートナーとなり、プロジェクト「デロイトデジタルアワード」を22年に設立することを発表した。

そしてデロイトトーマツが、FC今治と制作した小学生向けのSDGs(持続可能な開発目標)を伝える環境教育冊子「わたし、地球」を使って制作した、動画の予告が初お披露目された。動画に出演したハローキティと壇上で並んだ岡田氏は「(冊子を)もっと、もっと広めるためにどうしたらいいかだろうと考えて頂き、僕には似ても似つかないキティちゃんというかわいいものと合体し、映像としてショートショートに出すことで環境を考える機会を提供できるのではないか?」と動画を撮影した経緯を語った。

記者は以前、サッカー担当だった。2007年(平19)11月に当時、サッカー日本代表監督だったイビチャ・オシム氏が急性脳梗塞に倒れ、岡田氏が2度目の代表監督に就任した際、日本代表担当として追いかけた。同氏は囲み取材やぶら下がり取材でも、記者の前では冷静に振る舞い、コメントも熟慮した上でネガティブな発言は極力せず、時には強気とも思える発言も少なくなかった。

そんな中、2008年(平20)9月1日にに千葉県で行ったワールドカップアジア最終予選バーレーン戦(アウェー)直前合宿で、流通経大と行った練習試合で屈辱的な0-1の敗北を喫した。その際は、各メディアに相当、厳しい論評が掲載された。記者も当時

岡田監督は「欧州組が入ったら攻撃は変わる。セットプレー以外隠すものはない」と強がったが、直後に「情けない試合だった」と関係者に漏らした。

と書いた。

関係者に語った弱気なコメントを含め、岡田氏が書かれたくないような話も、ずいぶん書いたと思う。後日、某空港から隠密で視察に行こうと単独行動する岡田氏を、待ち伏せて単独取材をかけたところ「お前、こんなところまで来たのか」と不機嫌な顔をされた。ただ、きちんと取材には応じていただいた。現場で粘り強く取材する記者のことは、きちんと見てくれているんだと感じた。

だからこそ、取材し、書く原稿は批判するにしても、きちんと根拠を指し示して書くことにこだわっていた。2009年(平21)1月20日のアジア杯予選で、岡田ジャパンはイエメンに1点をリードした後半2分、セットプレーから痛恨の失点を喫し、何とか2-1で競り勝った。記者も原稿の中で触れたが、多くのメディアが

世界ランク153位の格下相手にシュートを27本も打って2点しか取れず、わずか1本のシュートで失点

などと批判した。ただ記者は、単に岡田氏を批判するのではなく、同氏が合宿中、口を酸っぱくしてイエメンの攻撃の注意ポイントを説明し、練習も繰り返して行っていた、ゴール前で人を捕まえる守備ができなかった選手にも、大きな問題があると指摘した。

そんな感じで、サッカー記者として追いかけ、書いては、また追いかけてきた岡田氏が、壇上でハローキティと一緒に手でハートマークを作っている姿が、どうにも信じられなかった。映画祭代表の別所哲也(55)が、ハローキティを見て「絶対、僕はこんなスカートをはけない。本当、かわいい」と目尻を下げると、岡田氏は「僕?」と口走って笑みを浮かべた。

そんな岡田氏と、久しぶりにサッカーの話がしたくなった。それと、環境保護や映画の話も…。「お前、サッカーから芸能に行ったのか? 代表担当の頃から、しつこくて変なヤツだったよな」なんて岡田氏が苦笑するほど、記憶の片隅にも残っていないかも知れないけれど…。【村上幸将】