ロシア外務省は21日、ウクライナ侵攻に対する米国による制裁への対抗処置として、入国を禁止する米国人のリストを更新し、俳優モーガン・フリーマン(84)やロブ・ライナー(74)が名を連ねていることが分かった。バイデン大統領やブリンケン国務長官ら13人はすでに3月に入国禁止対象となっており、今回はそれを大幅に拡大した計936人のリストが公表された。

フリーマンは、2016年の米大統領選へのロシアの介入について説明するようトランプ前大統領に求め、ロシアのプーチン大統領を「スパイ」であると述べて「我々は攻撃を受けて戦争状態にある」と語る動画に出演していたことへ対抗措置とみられる。ハリウッドスターや元国家情報局の重鎮らがロシアの選挙への介入疑惑を調査するために17年に設立された非営利団体「ロシア調査委員会」が製作した動画で、ライナーは同委員会を主導していることで知られる。ロシア外務省はフリーマンについて、「ロシアが米国に陰謀を企てたとして、戦いを呼びかけるビデオメッセージを収録した」と述べている。

リストにはハリス副大統領やペロシ下院議長、SNS大手メタ創業者のマーク・ザックバーグ氏、アニメ「シュレック」などで知られるドリームワークスのプロデューサー、ジェフリー・カッツェンバーグ氏らのほか、18年に死去したマケイン元上院議員の名も含まれているが、トランプ前大統領は対象になっていないと米メディアは伝えている。

ロシア外務省は、新植民地主義的な世界秩序を押し付けようとする米国を抑制することが目的だと主張しており、誠実な対話に応じる準備があると述べている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)