5日に米ロサンゼルスで自動車事故を起こして意識不明の重体だった米女優アン・ヘッシュさんが12日、脳死と判定され、法的に死亡と見なされたことが明らかになった。53歳だった。米オンラインメディアのTMZによると、ヘッシュさんは生前、臓器提供を希望していたことから現在も生命維持装置は装着したままで、心臓は動いている状態だという。カリフォルニア州では、脳死は法的に死亡と見なされる。事故で脳に深刻な損傷を負ったため、回復の見込みがないと家族が声明を発表していた。

ヘッシュさんは自らが運転する車が住宅に突っ込み炎上する事故を起こし、重度のやけどを負って病院で治療を受けていた。火の手が住宅にまで広がったため、救助されるまで1時間以上にわたって車内に取り残され、搬送時には意識があったもののその後昏睡(こんすい)状態になったと伝えられていた。「勇気ある誠実さで記憶されるでしょう。明るい光を失った」と代理人を通じて家族はコメントしている。

事故原因は明らかになっていないが、検査で麻薬の陽性反応を示したことが伝えられており、運転時に薬物の影響を受けていた可能性も取りざたされている。ただ、治療に用いられる薬剤が含まれている可能性もあることから、追加の検査が必要だと報じられていた。一方、事故直前に撮影された写真では、運転席にウォッカのボトルのようなものが確認できることから飲酒運転の可能性も指摘されていたが、検査ではアルコールは検知されなかったという。

ヘッシュさんは、米映画「ボルケーノ」(1997年)や「6デイズ/7ナイツ」(1998年)などに出演し、エミー賞も受賞している。2009年に離婚したカメラマンのコールマン・ラフォーン氏との間に20歳の息子がいるほか、その後パートナーとなった俳優ジェームズ・タッパーとの間にも13歳の息子がいる。また、バイセクシュアルを公表しており、90年代にはコメディアンのエレン・デジェネレスと交際していたこともある。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)