昨年10月に映画「ラスト」を撮影中に小道具の銃を誤射して撮影監督が死亡した事件で、「引き金を引いていない」と述べていた米俳優アレック・ボールドウィン(64)の主張が覆されるような報道があった。

「銃は引き金を引かない限りは発射されることはない」と結論付ける米連邦捜査当局(FBI)の法医学報告書を米ABCニュースが入手し、報じている。報道によると、FBIはさまざまな方法で発射実験を行った結果、引き金を引かずに銃を発砲させるのは不可能であるとの結論に達したという。

ボールドウィンは撮影セットで、安全を意味する「コールドガン」だと手渡された銃を使ってリハーサルを行っていた最中に誤射し、ハリナ・ハッチンスさんが死亡した。

その後の調べで銃には実弾が装てんされていたことが発覚したが、どのような経緯で誰が持ち込んだものなのかは分かっていない。ボールドウィンは実弾が入っていることは知らなかったと主張しており、「自分は引き金を引いていない」とABCテレビの独占インタビューで繰り返し述べ、偶発的な事故だとの見解を示していた。

捜査は依然継続中で、ボールドウィンや武器担当者を含み、現時点で逮捕者は出ていない。一方、ボールドウィンら関係者は、ハッチンスさんの遺族や同僚から複数の民事訴訟を起こされている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)