眞栄田郷敦(23)の初主演映画「彼方の閃光」が、12月8日から東京・TOHOシネマズ日比谷を皮切りに全国で順次公開されることが2日、決まった。
眞栄田は、米軍基地や長崎、沖縄などのテーマに取り組んだ戦後日本を代表する写真家・東松照明の写真にひかれ、強く導かれるように長崎へ向かった光を演じた。幼い頃に視力を失い、手術に成功したものの色彩を感じることができないという難役で、本編もモノクロで描かれる。
作品は、主人公の光が10歳の09年を描く1部、20歳の19年を描く2部、71歳の70年を描く3部で構成される。撮影は21年8月に3部、眞栄田が出演した2部は同11月に東京、長崎、沖縄で行われた。沖縄では、沖縄戦当時に住民が避難して米軍の攻撃を受けた、糸満市にある“沖縄県庁最期の地”轟の壕に実際に入っての撮影も行った。
米国に生まれ、中学生から日本で生活するようになって、日本の戦争の歴史を学んだ眞栄田にとって、米軍機が頭上を飛ぶ沖縄での撮影から多くの刺激を受けたという。「僕が一番、響いたのは、轟の壕に実際、入って結構、長い期間、真っ暗な中で撮影していて実際、何百人も人がいたんだと思うと、すごく身近に感じました。独特の空気感があり思うところが多かった」と振り返った。
撮影を終え、轟の壕を出て「瞬間の太陽が、すごくありがたかったというか温かく、優しく」感じたという。「自分じゃない人を演じているんですけど、そこの場所(轟の壕)で感じたのはウソのないリアルな感情で、ドキュメンタリーを撮っているような自然な感覚でもあります」と、フィクションとドキュメンタリーの、中間の質感を持つ作品であると強調した。
折しも、22年2月に始まったロシアのウクライナへの侵攻が長期化し、イスラエルがパレスチナ自治区ガザに侵攻と、世界各地で紛争が起こる中での公開となる。「この映画を(主演として)背負わせて頂いて一番、考えが変わったのは、伝えていかなければいけない立場になったんだということ」と、戦争を伝えていく思いを新たにした。
原案と脚本、音楽、スタイリングまで手がけた半野監督は、光の60年あまりを描く大河ドラマでありながら、戦争を考えるという社会的な側面を持つ物語をオリジナルで作り上げた、2年前に20年在住したフランス・パリから拠点を東京に移した。その大きな理由の1つが、母国語である日本語で映画を作りたいという思いだった。
根底には、戦争や殺人はいけないという平和を希求する思いがあり「本当に、日本人として戦争ということを少しでも考えることは大切だと思います」と訴えた。そうした思いの中で、光が劇中で出会う東松照明の写真に同監督自身が出会い、長崎から沖縄へと導かれるように物語を紡いでいった。半野監督は「色彩と平和、この2つのキーワードが両輪となってこの映画は走ります。当然のように自分の手の中にあると感じているものを見つめ直し、主人公のまなざしを通してその意味や価値を問う。そんな映画を作りたいという思いから生まれました」と作品を評した。



