女優・柳美稀(26)が、着々と経験値を重ねている。柳は現在全国公演中で、堤幸彦氏(68)が演出を手がける、日本テレビ開局70年記念舞台「西遊記」(24年1月6日から28日まで東京公演、明治座)で松平健、片岡愛之助ら名優と共演。自身の役者業との向き合い方、今後の目標を聞くと少し意外な答えが返ってきた。【望月千草】
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演劇界の名優がそろう、令和版「西遊記」で奮闘中だ。柳は三蔵法師一行と出会う勝ち気な女性、高翠蘭を演じる。オファーで出演が決定し、自身にとっても「一番大きな舞台」という。「最初からアクション盛りだくさん。笑いが多くて、お客さんも寝ないと思います(笑い)」。LED映像やフライングなど仕掛けがてんこ盛り。脚本は奇才・堤氏が手がける。「堤さんは天才。(指導を)受け取ってかみ砕いて、何を伝えたいんだろうって考えて表現するのは大変です」。
プレッシャーを感じつつも、表情は明るい。「本番でセリフを間違える夢を見たりして、冷や汗止まらないです」と苦笑するが、重圧は充実の証しだ。劇中では本格的な殺陣に挑戦。稽古の合間を縫って猛練習を重ねた。「パンチや蹴り、旋風脚もやっています。自分で飛んで蹴って必死です」。コメディー演技に加え、アクションも経験。役者としての幅を広げている。
12年に「国民的美少女コンテスト」に出場した縁もあり、現事務所に所属。ファッションモデルとしてデビューし、16年から俳優業に本格進出した。今舞台で演じるのは、少し毒舌な“さばさば女子”。「翠蘭は自分の思っていることを100%出すので、見ていて気持ちがいいんじゃないかな。しゃべらなければかわいいと言われるのは、現実のわたしと言われていることが同じです(笑い)」と笑い飛ばした。
役者として目指す理想像を尋ねた時、良い意味で裏切られた。「嫌われたいんですよね」。苦笑しつつ、迷いのない声で言った。「役で嫌われるのは全然ウエルカム。『柳美稀嫌い』って言われても全然良いくらい」と悪役は大歓迎。目指す自分の色を定めている。
明るく、はつらつな印象を受けた。取材中は、記者に対し「お茶飲んでくださいね」「部屋暑くないですか?」と細やかな気配りをしてくれた。さばけたあねご肌からにじむものがあるからなのか、デビュー以後“悪役”ポジションとの親和性が高いという。オーディションで射止めやすいのが「ヤンキーやギャル」といった役柄。「口調が悪いのが似合うと言われました。普段の生活では使わないんですけど、わたしは言い慣れてない感じがしないみたいです(笑い)」。21年には映画「ハニーレモンソーダ」にいじわるな同級生役で出演。やはり、オーディションで即決されたという。
王道ヒロインに憧れることはないのか。共演経験のある福原遥や浜辺美波は「朝ドラ」で国民的な“ヒロイン”を演じたが「悔しいとかはならなくて…」と否定した。遠慮や逃げではない。「ヒロインが視聴者から応援されたりするのは、悪役とか、サイドにいる人たちがいないと成り立たない。より芝居力が大事になるので、そっちを極めたいと思いました」と信念に胸を張る。
「この仕事を始めた頃は『とがっている』と言われていたけど、最近は『丸くなった』って言われることが多くなったんです。でもそれじゃ面白くないから、やっぱりとがっていようと。わたしでしか出来ない芝居、柳美稀の色をもっと出していかないといけない」。興味がある役柄は、昨今増えつつある不倫系のドラマという。「不倫相手の役とか。世間一般から嫌われる人たちをやりたいですね」と待ち構える。役を通じて嫌われたら、してやったり。“邪道”でその名を広めていく。
◆柳美稀(やなぎ・みき)1997年(平9)8月24日生まれ、愛知県出身。16年テレビ朝日系「動物戦隊ジュウオウジャー」でドラマ初出演。同年の「セーラー服と機関銃-卒業-」で映画デビュー。22年「刑事7人Season8」、23年映画「春画先生」などにも出演。趣味はゲーム、最長1日12時間プレー。
◆舞台「西遊記」 1978年(昭53)に「日本テレビ開局25年記念番組」として制作され社会現象にもなった大ヒット作品の令和版。演出を堤幸彦氏が手掛け、片岡愛之助、小池徹平、松平健、中山美穂ら豪華キャストが出演。東京公演は明治座にて24年1月6日から28日まで。



