ABCテレビの今村俊昭社長(63)が30日、大阪市の同局で新春社長会見に出席し、「ヤングケアラー」などと指摘され炎上騒動になっている「探偵!ナイトスクープ」について謝罪した。
今村社長は「今回の放送内容は子どもの家事、育児に関することでしたので、ヤングケアラーなど社会的な問題を意識して、その取り上げ方についてはデリケートで慎重な対応が必要でした。こうした事態を招いたのは、編集、構成を行った番組側に起因するもので当社として深く反省しております」と謝罪。「当社として最も重視しているのは取材対象者、そして家族の安全と尊厳でございます。そのために必要な対応を行います」と語った。
放送後、同局には1週間で約300件の苦情が寄せられた。
今村社長は「ヤングケアラーというような社会課題に対して意識を持ち損ねていた」と反省。
同局の岩田潤取締役も、事前取材したスタッフは取材対象者者がヤングケアラーに当たるとは感じていなかったと説明。放送前の番組予告の段階で「ヤングケアラー」との指摘が上がっていたことも把握していたが、「番組をごらんいただくことで私たちの意図が伝わると考えていた」とし、今村社長同様、騒動に至った要因を「ヤングケアラーに対する認識が甘かった」と結論付けた。
今村社長は、演出を加えたことによって誹謗(ひぼう)中傷などの人権侵害を引き起こした側面があり、BPO案件に該当するとの指摘に対し「真摯(しんし)に受け止めなければならない。作品によって引き起こされているというのは重く受け止めている。受け止めで、識者の方の評価軸は何とも申し上げられないが、今、本当に番組のファンや依頼者の方々にご迷惑をおかけしたという点においては真剣に受け止めております」と話した。
一方で、「やらせ」との指摘が上がったことに対しては「今回の方には事実に基づいたもので構成している。捏造(ねつぞう)や一部で言われるやらせには当たらないと基本的には考えている」ときっぱり反論した。
同放送回を巡っては、TVerの見逃し配信を停止中で停止期間については現状未定。番販も停止しており、他局での後日放送も視聴不可能となっている。続編を放送する予定もないという。
今村社長は番組をこれまで通り放送していく考えを明言。関西ローカルでは30日に放送が予定されているが、23日放送回に関する同局の考えは番組ホームページで示しており、テロップなどで改めて放送する考えはないという。
問題となった同番組の23日放送回では、探偵を務めるお笑いコンビ霜降り明星せいやが、6人兄弟の世話をする小学6年生の長男からの「1日だけ長男を代わってほしい」との依頼に答える様子が放送された。放送終了後、ネット上では「ヤングケアラー状態」などと批判の声が上がっていた。また、せいやが依頼を終え、小学生の家から立ち去った後に、家の中の音声を流したこともあって、同局の意図を勘ぐる推察もあった。
同局は25日および26日に番組公式サイトに声明を発表。「当該放送をめぐり、取材対象者やご家族に対して、SNS等で強い批判や誹謗(ひぼう)中傷が広がっている状況を重く受け止めています。取材対象者やご家族への誹謗中傷、詮索や接触は厳にお止めいただくようお願い申し上げます」と訴えるとともに、「放送内容の一部について誤解を招く受け止めが広がっていることを重く受け止めて」とし、VTRの最後に挿入された家の中の音声をめぐって「当該放送において、普段は基本的に家にいて家事・育児を担当している父親が乳幼児を残して外出する場面、および当該VTRの最後に母親が、『米炊いて、7合』といった発言は、番組の編集・構成上の演出として表現したものです」と説明した。
しかし、これが「やらせ」「BPO案件」とさらなる騒動を招く結果となっていた。



