世界3大映画祭の1つ、第79回カンヌ映画祭(フランス)で、日本人初の女優賞を受賞した「急に具合が悪くなる」(6月19日公開)主演の岡本多緒(41)とベルギー出身のフランスの俳優ビルジニー・エフィラ(49)と濱口竜介監督(47)が26日、都内の日本記者クラブで会見を開いた。
岡本は23日(現地時間)の授賞式から日が浅く「この受賞から2日、たったと思うんですけど、全く現実味は湧いておりません。一生、湧くことはないと感じております」と率直な思いを語った。そして「たくさんの方に見ていただけるきっかけになるとうれしいと思っております」と観客に呼びかけた。
エフィラは「この映画『急』のために日本に来ることができて、うれしいです。ありがとう。一緒に撮ることができて、とても幸せ。受賞の時に、監督と一緒に登壇できなかったのが、不思議、この映画は監督の仕事。特異な方法で作られた」と濱口監督をたたえた。
濱口監督は「本当に、この受賞は、うれしく思っています」と受賞を喜んだ。そして「お二人の学者の往復書簡から始まった。2人の魂を演じられた2人の受賞は、支えた私にとっても誇らしい。素晴らしい作品が集まった中、私にとって映画の中心は俳優。スタッフにも言っていた。スタッフ全員の力が集まって、他の俳優との相互反応があって2人の輝きにつながった。観客、審査員が受け取って認めてくれたことは喜び」と語った。
「急に具合が悪くなる」は、がんの転移を経験しながら生き抜く哲学者の宮野真生子氏と、臨床現場の調査を積み重ねた人類学者の磯野真穂氏がかわした20通の往復書簡を元にした、19年の同名共著(晶文社)を原作に、濱口監督が脚本を執筆。パリ郊外の介護施設の施設長マリー=ルー・フォンテーヌと、がんで闘病中の日本人演出家・森崎真理との交流を描く。マリー=ルーをエフィラ、真理を岡本が演じた。マリー=ルーと真理を引き合わせる重要な役どころとして、真理が演出する舞台に出演する俳優の清宮吾朗をた長塚京三(80)、吾朗の孫の窪寺智樹を黒崎煌代(24)が演じた。
◆「急に具合が悪くなる」 フランス、パリ郊外の介護施設「自由の庭」の施設長マリー=ルー・フォンテーヌ(ビルジニー・エフィラ)は、入居者を人間らしくケアすることを理想としつつ、人手不足やスタッフの無理解などに悩まされている。そんな中、日本人の演出家・森崎真理(岡本多緒)に出会い、がん闘病中の真理の描く演劇に勇気をもらう。同じ名前の響きを持つ偶然に導かれて、交流を始めた2人だったが、ある時、真理が「急に具合が悪くなる」。真理の病の進行とともに、2人の関係は劇的に深まり、互いの魂を通わせ合うようになる。



