小林製薬(大阪市)の「紅こうじ」サプリメントによる健康被害を巡り、消費者庁は18日、機能性表示食品の届け出がある約1700事業者を対象に実施した調査で、新たに17製品、30件で医療従事者からの情報に基づく健康被害報告があったと発表した。これにより報告は計35製品、計147件になった。直ちに対応が必要な製品はないとしている。

16日までに全体の約9割に当たる1551事業者が回答した。同庁の新井ゆたか長官は、残る約1割のうち連絡が取れない事業者がいるとして「大きな論点だ」とした。

消費者庁によると、新たに健康被害報告があった30件の中には、小林製薬の「紅麹(べにこうじ)コレステヘルプ」の5件が含まれている。

小林製薬以外では事業者名や製品名を公表しなかった。下痢などの事例があり、重篤な例では入院した人もいるという。製品との因果関係は現時点では不明で、専門家への確認を進める。5月中にも調査について最終的な報告内容をまとめる。

機能性表示食品制度は2015年に始まったが、今回の調査で健康被害報告があったと回答した事業者は、消費者庁への報告は必要ないと判断していた。機能性表示食品における健康被害の発覚は、小林製薬のサプリが初めてだった。

制度のガイドラインでは、健康被害に関して「発生および拡大の恐れがある場合は、消費者庁へ速やかに報告する」とされているが、小林製薬は最初の被害把握から報告まで2カ月超を要した。

消費者庁は今月12日に速報値として、18製品で計117件の健康被害報告があったと発表していた。

機能性表示食品は事業者が示す安全性や機能性がデータベースで一般公開されている。しかし、届け出をしたまま倒産や休廃業した事業者が複数存在するなど、信頼性の問題も生じており、今回調査に回答がなかった約1割の事業者について消費者庁は「引き続きアプローチしていく」とした。(共同)