栃木県那須町の河川敷で夫婦の焼損した遺体が見つかった事件で、逮捕された4人は知り合って数カ月の仲で、互いの名前を詳しく知らない希薄な関係だった。それぞれ指示を受けて動き、一部は多額の報酬を受け取ったと供述。いずれも夫婦との接点は確認されず、金銭目的で関わったとみられる。夫婦が死亡した経緯は謎のままで首謀者の解明が急がれる。

会社役員宝島龍太郎さん(55)と妻幸子さん(56)の遺体が見つかったのは4月16日早朝。警視庁と栃木県警の合同捜査本部はこれまでに死体損壊容疑で、平山綾拳(りょうけん=25)と佐々木光(28)、姜光紀(カン・グァンギ=20)、若山耀人(きらと=20)の4容疑者を逮捕。佐々木容疑者が指示役で平山容疑者が仲介役、姜、若山両容疑者が実行役とみられている。

平山容疑者が姜、若山両容疑者と知り合ったのは昨年末から年明けの頃。平山容疑者は「『カン』『きらと』と呼んでいた。数回飲んだことがある」と供述したが、フルネームは知らなかった。

佐々木容疑者も平山容疑者について「2~3月に渋谷の店で知り合った」と説明。「実行役は『りょうけん』が集めたので知らない」と供述し、平山容疑者の名字は知らなかったという。

希薄なつながりの4人が凄惨(せいさん)な事件の共謀者となったのは、報酬目的だった可能性がある。平山容疑者は、佐々木容疑者から遺体の処理を頼まれてガソリンなどを購入し、「報酬の総額は1500万円で、佐々木容疑者は100万円、自分は900万円の報酬を受け取った。姜、若山両容疑者には250万円ずつ渡した」と話している。

平山容疑者から依頼を受け、宝島さん夫婦を車に乗せて栃木に向かった疑いがある姜、若山両容疑者も「指示を受けて遺体を処理した後、報酬を受け取った」と供述。ただ、平山容疑者が説明している250万円より少なかったと話しており、額には食い違いもある。

一方で「ある人物」から非通知電話で遺体処理を頼まれたという佐々木容疑者は「報酬は受け取っていない」などと供述。説明には不審な点も多く、捜査本部は慎重に確認を進めている。佐々木、姜、若山の3容疑者から押収したスマートフォンの分析を進めるなどして首謀者の特定など全容解明を目指している。