豊洲市場の移転問題を検証する都議会の調査特別委員会(百条委員会)が11日、始まった。

 「都民ファーストの会東京都議団」の音喜多駿都議は、石原慎太郎元都知事の側近で、当時豊洲の用地を所有していた東京ガス側に「水面下でやりましょう」と持ちかけたとされる浜渦武生氏による交渉の「新事実」として、東京ガス側が残していたメモの存在を明かした。

 東ガスから、百条委員会に提出された2000年(平12)12月22日のメモによると、この年の10月に前任の福永正通副知事から引き継いだ浜渦氏の指示として、都側が「『土壌Xデー』を迎えれば、土壌問題が噴出し、東京ガスが所有する土地の価格が下落する」「『結論』さえ出せば石原知事が安全宣言で救済するから、早急に結論を出すように」という内容だったという。

 都政策報道室理事だった赤星経昭氏との「折衝内容」だったといい、「土壌Xデー」とは、東京ガスの所有する土地に土壌汚染対策法が適用され、豊洲の土地の価格が下落する日を表現したものと、音喜多氏は分析した。

 メモには「先週は中曽根(康弘)元首相が都庁にやってきた」「国費投入は(自民党)政調会長もOK」など、国政の介入をうかがわせる記述もあったという。

 東ガスは当初、用地取得に難色を示していたが、このメモが書かれた約2カ月後の01年2月、都と東ガスは、土地取得に関する覚書を締結している。

 この日の委員会には、交渉当時の会長ら最高幹部、岡本毅会長、広瀬道明社長の現経営陣など東京ガス関係者9人が証人として尋問された。音喜多氏が指摘したメモの出元について、東ガス側は、「まったく知らない」「どこから出たのか分からない」と、困惑した様子で述べた。

 音喜多氏は委員会後、報道陣の取材に「メモは私のつくったものではなく、東京ガスから出された資料に書いてあったもの。覚えていないこともあるでしょうが、ストンと納得はできない」と述べた。

 「メモで残した相手方には浜渦さんの名前がある。浜渦さんは(19日に)委員会に来られるので、しっかり追及して事実関係を明らかにしたい」とも話した。