南青山に児童相談所(児相)を含む複合児童施設の建設を計画している東京・港区が、ふるさと納税の使い道の1つとして、同施設の整備を加えていたことが、18日までに分かった。

区では、ふるさと納税で集めた寄付金を充てる新事業を、19年に追加することを検討。区民や区役所職員、議会などから「子供を支援する事業が、ふるさと納税に適している」との意見が多く、南青山の児童施設の整備事業を加えたという。一部区民が「南青山ブランドが落ちる」などを理由に施設建設に反対しているが、区の担当者は「ふるさと納税を活用する子供支援事業を探したら、この児童施設だったということ。騒ぎを受けて、何かメッセージを送る、などの意図は全くない」と説明。「刺激的なタイミングになってしまったたかもしれないが、あくまで結果論。集金額で何かを訴えるつもりも全くない」とつけ加えた。

1月1日からふるさと納税の対象事業となっているが、まだ応募はないという。施設建設の予算が足りないわけではなく、ふるさと納税で集まった分は、既存計画を向上させる部分に使いたい意向だ。19年の納税で集まった分の使い道は、施設の設計費などにあてる方針。今後は建設費や運営費に回す可能性もある。

港区はこれまで「台場の水質改善」「港区マラソン」「運河に架かる橋のライトアップ」の3事業と「その他」で、ふるさと納税を募集してきた。応募は伸び悩んでおり、昨年4月から12月の3事業へのふるさと納税額は約148万円で、使途を定めない「その他」の約201万円よりも少ない状況だった。今回、児童施設の整備事業を加えたのは、そういった現状の打開策の1つでもある。

港区民が他の自治体にふるさと納税を行ったことによる区の減収は、18年度で30億円程度の見込みで、年々増加している。区は区民からのふるさと納税を増やす一手としても期待している。