将棋の最年少プロ、藤井聡太2冠(棋聖・王位=18)が9日、大阪市の関西将棋会館で指された第79期順位戦B級2組4回戦で、名人を5期獲得し永世名人の資格を持つ谷川浩司九段(58)を76手で破り、今期無傷の4連勝を飾り、同組の首位をキープした。史上最年少の18歳1カ月で2冠獲得後、初の対局を白星発進した。

夕食休憩まで形勢は互角だったが、藤井が落ち着いた指し回しで、ジリジリとリードを広げた。1時間を超える長考を何度も重ねた藤井は「見慣れない形になり、対応を考えたが、分からなかった。そこが課題です」と反省を口にした。

少年時代からの憧れの存在と公言する谷川との約1年ぶり、2度目の公式戦。タイトルホルダーとなった藤井へ、レジェンドから気づかいがあった。谷川は藤井より早く対局場に入り、先に下座に着席した。3分後に入室した藤井は選択の余地はなく、上座へ。午前10時、対局がスタートする際、藤井はいつもより深く、長く頭を下げた。終局後、谷川は「立場的にはぶつかっていく気持ちでした」と話し、得意の角換わりの戦型について「一番、よく指している戦型をと思っていた」。若き天才に真っ向からの勝負を挑んだ。

谷川が持つ名人獲得の史上最年少記録は21歳2カ月。順位戦は最上位のA級からC級2組までの5クラスに分かれて戦い、A級の優勝者が名人挑戦者となる。レジェンドを超えるには、藤井は今後の順位戦をすべて1期で昇級する必要がある。「全力を尽くして昇級を目指したい」。憧れの棋士の前で、高校生プロが力強く誓った。【松浦隆司】