自民党の菅義偉新総裁(71)の後任となる官房長官に加藤勝信厚労相(64)が内定した。拉致問題担当も兼務する。16日に臨時国会が召集され、首相指名選挙を経て、菅首相が誕生し、注目の閣僚人事が明らかになる。自民党は15日、臨時総務会で二階俊博幹事長(81)、森山裕国会対策委員長(75)が続投するなどの党役員人事を発表し、総裁選で菅氏を支持した5派閥から起用される「派閥人事」となった。

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「ポスト菅」の官房長官に内定した加藤厚労相は、安倍氏の忠実な側近の1人とされ、菅氏らとともに安倍氏の“仲間”による政権継承を象徴する人事といえる。

1955年(昭30年)11月22日、東京生まれ。祖父・室崎勝造氏は実業家で島根県議会議長、父・室崎勝聡氏は日野自動車副社長。都立大泉高から東大経済学部を卒業し、大蔵省(現財務省)に入り、農水相秘書官などを務めた。

転機は、農水相などを歴任した加藤六月氏の娘・周子さんとの結婚だった。六月氏が「官僚の婿を迎えたい」と希望。婿入りし「加藤」姓に。六月氏は安倍氏の父・安倍晋太郎氏の「四天王」と言われ、特に厚い信頼を得ていた人物。その縁で、安倍家と加藤家は今も家族ぐるみの付き合いが続いているとされ、いわば“身内”的存在だ。

95年に退官した加藤氏は、03年の衆院選で初当選。12年に安倍氏が政権に戻ると官房副長官に起用され、菅官房長官を支えた。以降も安倍1強体制の中で、内閣人事局の初代局長、一億総活躍担当相、自民党総務会長、厚労相など重要ポストを歴任。安倍氏が目をかけ、後継と期待する1人に浮上していた。174センチ、76キロ。趣味は読書。座右の銘は「一点素心」。家族は周子夫人と4女。岡山5区、当選6回。