藤井聡太棋聖(竜王・王位・叡王・王将=19)が永瀬拓矢王座の挑戦を受ける、将棋の「第93期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第3局」(産経新聞社、日本将棋連盟主催)が4日、千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月」で行われ、先手の藤井が145手で永瀬に勝ち、シリーズの対戦成績を2勝1敗とし、3連覇へ王手をかけた。永瀬はかど番に追い込まれた。第4局は17日、名古屋市「亀岳林 万松寺」で行われる。

終局後、永瀬は形勢が動いた局面について「先手2二歩(73手目)に対する対応が3三桂だとバランスを崩しているような気もした。ただ他の手の見通しが立たなかったので、手が難しいのかなと思って指していた」と振り返った。

戦型は角換わり。昼食休憩までに73手進む激しい進行。永瀬はジリジリと追い込まれ、持ち時間4時間を使い切り、1手1分未満での指し手が要求される「1分将棋」になった。

これで対藤井戦は2連敗、対戦成績は4勝9敗。第4局に向け「少しでも棋力を上げ、いい将棋を指せるようにしたい」と気持ちを切り替えた。

◆棋聖戦 将棋の8大タイトル戦の1つ。1962年(昭37)創設。初代棋聖は、故大山康晴十五世名人。94年度までは半年に1回開催されていた。20年に藤井が17歳11カ月で初のタイトル挑戦、初タイトル獲得を果たすまで、屋敷伸之が第55期(89年度後期)で17歳10カ月24日の最年少挑戦記録を保持。次の第56期(90年度前期)で屋敷は18歳6カ月と当時の最年少記録で初タイトル獲得という舞台になっていた。95年度から年1回に。96年度は当時7冠すべてを保持していた羽生善治現九段が今局の対局場となった「高島屋」で三浦弘行現九段に敗れ、6冠に後退した。「棋聖」は将棋、囲碁で抜群の才能を示す者への敬称。将棋では江戸時代末期の不世出の天才棋士、天野宗歩(あまの・そうふ)がこう呼ばれた

【第93期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負日程】

◆第4局 7月17日、名古屋市「亀岳林 万松寺」

◆第5局 7月27日、静岡県沼津市「沼津御用邸東附属邸第1学問所」