藤井聡太竜王(20)が初防衛を目指して広瀬章人八段(35)の挑戦を受ける、将棋の第35期竜王戦7番勝負第1局(東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」)は、先手広瀬が先勝した。初防衛を目指す藤井は黒星スタートとなった。

7日午前9時からの2日制で始まった対局は、角換わり腰掛け銀となった。初日の封じ手直前から広瀬の厳しい攻めに、防戦を強いられた。8日になっても踏み込み鋭い先手にリードを広げられる。最後に反撃に転じるが、巧みな受けの前に収拾がつかず、投了を告げた。

6日に行われた前夜祭では、「終盤が非常に鋭く、そこに至るまでの中盤の組み立てが素晴らしい」と広瀬の棋風を分析していた。結果的にその言葉どおり、術中にはまった。

これで今年に入って、棋聖戦5番勝負は永瀬拓矢王座、王位戦7番勝負は豊島将之九段、今回とタイトル戦の開幕局は3連敗となった。立ち上がりこそ良くないが、そこから棋聖戦は3連勝、王位戦は4連勝して一気に防衛している。修正能力は高い。

昨年9月に叡王を獲得した際、タイトル戦について「何回か負けることができる」とも話していた。これまでタイトル戦での連敗はない。もちろん、黒星を喫した今局の反省を生かして、次局以降に立て直してくるはずだ。

第2局(21・22日、京都市「総本山仁和寺」)は先手番。自分のやりたい作戦に誘導できる。渡辺明現名人が2005年(平17)の第18期で21歳7カ月の史上最年少で達成した竜王初防衛記録に向け、反撃に転じる。

【第35期竜王戦7番勝負・今後の日程】

◆第2局 10月21・22日、京都市「総本山仁和寺」

◆第3局 10月28・29日、静岡県富士宮市「割烹旅館 たちばな」

◆第4局 11月8・9日、京都府福知山市「福知山城天守閣」

◆第5局 11月25・26日、福岡県福津市「宮地獄神社」

◆第6局 12月2・3日、鹿児島県指宿市「指宿白水館」

◆第7局 12月14・15日、山梨県甲府市「常磐ホテル」

※対局は2日制。4勝先勝で打ち切り