石川県珠洲市で震度6強を観測した地震から一夜明けた6日、市では約740世帯の約1630人に避難指示を出した。現地では雨が降り続いており、金沢地方気象台は大雨警報を発表した。市は避難所を開設し、ブルーシート1000枚を準備して住民らに土砂災害への厳重な警戒を呼びかけた。地震は震度6強の後も続き、震度1以上が50回以上も観測された。

石川県では1人が死亡。県内のけが人は新たに11人確認されて計33人に。ほかに富山県で1人がけがをした。国土地理院は、珠洲市北部の地表が最大約20センチずれた可能性があると発表。政府の地震調査委員会は「活動は当分続くと考えられる」との評価をまとめた。

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珠洲市内でも特に被害が大きかった正院町では、5日の地震発生直後に山の一部が崩れ落ち、大きな岩が坂東典明さん(59)の2階建て木造住宅を直撃した。坂東さんは「揺れが長くて大きかった。地響きもすごくて岩が落ちてきた衝撃も区別できなかった」と振り返った。

揺れが収まると、台所で茶わん蒸しを作っていた母亨子さん(80)のうめき声が聞こえた。窓がふさがり暗がりとなっていた中で、天井と棚の下敷きになっていた亨子さんを見つけた。板のくいを使って押し上げようとしたが上がらず「意識だけはちゃんと持って!」と呼びかけ続けた。山が崩れている様子を見た近所の人が駆けつけ、ジャッキを使いながら圧迫を和らげた。その後、レスキュー隊が亨子さんを引っ張り出し、ドクターヘリで病院に搬送。「命に別条はないと聞いているのでホッとしている」と胸をなで下ろした。

正院町ではひびが入った道路やのり面が崩れ落ち、一時通行止めになっている道路があった。瓦が剥がれ落ちている家屋や、鳥居が倒れている神社も。日本酒などを製造している櫻田酒造では約100本の一升瓶が割れるなどの被害があった。

玄関の戸が壊れガラスの後片付けをしていた中明子さん(78)は「柱が傾いていたり、鍵がかからなくなったりどこから手を付けていいか分からない。先のことを考えると不安です。生きていくのが大変だなと思う」と口にした。

珠洲市の観光名所「見附島」では地震の影響で崩れたものとみられる土砂が積もっていた。近くの旅館「能登見附温泉 のとじ荘」の松村京子支配人は「残念ですけど、自然には逆らえない。前向きに考えていきたい」と話した。【沢田直人】