LGBTなど性的少数者への理解増進法案は13日、衆院本会議で、与党修正案が自民、公明、日本維新の会、国民民主の4党などの賛成多数で可決され、衆院を通過し、参議院に送られた。立憲民主、共産、れいわ新選組、社民の各党は反対した。15日に参院内閣委員会で審議、採決が予定されており、16日にも成立する見通しだ。

自民党内には、党内の議論でも異論があったとして、採決の際に党議拘束をかけないよう求める声が出ていたが、茂木敏充幹事長は12日に党議拘束はかかるとの認識を示した。保守系議員を中心に造反が出るのではないかとの見方もあったが、党議拘束を受けて賛成に回った議員もいた。

一方、安倍晋三元首相に近かった高鳥修一議員は採決の際に一時退席し、採決の後で、再び本会議場に戻った。退席の間、高鳥氏は議場横にあるトイレに入っていた。退席理由について「おなかが痛いということだ」などと、述べた。

また、杉田水脈議員は本会議を欠席した。

同法案は当初、与党案と野党2案が9日の衆院改革委員会で審議される予定だったが、同日朝、自民、公明、日本維新の会、国民民主の各党が、与党案の修正で合意。自民は「性自認」の表現について、維新&国民案の「ジェンダーアイデンティティ」を採用。「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意する」の規定も盛り込んだ。岸田文雄首相の意向もあり、自民党が維新&国民案を丸のみする形で、法案成立の環境づくりを優先した。【中山知子】