一般社団法人「日本糖尿病学会」は23日までに公式サイトで、血糖値を測定できるとうたうスマートウオッチ(腕時計型デバイス)の広告が増加しているとした上で、皮膚に針を刺さず血糖値を正確に測定できる医療機器は現時点で承認されていないとして、注意を呼びかけた。

同学会は「血糖測定機能をうたうスマートウオッチ(腕時計型デバイス)について」と題した文書を公開。「昨今、非侵襲的に血糖値を測定できるとするスマートウオッチ(腕時計型デバイス)に関する広告が増加しています」とした上で、今年2月に米国食品医薬品局(FDA)が皮膚への穿刺(せんし)をせずに血糖測定できるとうたうスマートウオッチやスマートリングを使用しないよう警告したことを紹介した。

その上で、「2024年4月現在、指先穿刺や皮下センサー留置のための皮膚穿刺をすることなく、血糖値やグルコース値を測定できる医療機器はありません」と断じた。

これに先立ち、公益社団法人「日本糖尿病協会」も同様の文面をアップ。「2024年2月21日、米国食品医薬品局(FDA)は、非観血的測定を行うどのスマートウオッチやリングも承認されておらず、不正確な測定値により糖尿病治療において誤った対応につながる可能性があることを警告しました。日本においても独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)によって承認されている同種の機器は現時点で存在していません」と報告した。

また「2022年2月に中国から発表された論文においても、23名のボランティアを対象にスマートウオッチのセンサーによって手首から経皮的に間質液中のグルコースを測定した結果、現在国内において承認されている血糖自己測定器や持続グルコース測定器(CGM)と比べると精度の点で大きく劣っていることが示されました」とし、「以上より、糖尿病のある人ではスマートウオッチなどの非観血的機器によって測定した血糖(グルコース)値を治療に用いることは思わぬ低血糖や高血糖を来す危険があることから、現時点では使用しないことを強く推奨します」と呼びかけた。