シンボリクリスエス(牡4、藤沢和)が史上初の天皇賞・秋連覇を達成した。前半1000メートルを56秒9で通過というハイペースも関係なく、中団を追走すると直線で一気に突き抜けた。前走の宝塚記念で5着に敗れた雪辱を果たすとともに、単勝1番人気の期待に応えた。勝ちタイムの1分58秒0はコースレコード。今年の関東馬のG1連敗を13でストップさせた。

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まるで力が違いすぎた。シンボリクリスエスが一気に加速する。馬場の3分どころから真一文字に抜け出してきた。残り400メートル、ペリエ騎手がゴーサインを出して前団をとらえにかかる。残り200メートル、逃げ脚の鈍っているローエングリンを並ぶ間もなく交わして先頭に立つと、ただ1頭、上の次元の末脚でゴール板を駆け抜けた。

「ペースが速く、行きたがったが、馬の気持ちに任せた。最後までしっかり走ってくれてまるで空を飛んでるようだった。本当にハッピーだ」とペリエ騎手。前週の菊花賞で2番人気のゼンノロブロイに騎乗しながら、「自分のせいで負けた」と4着に敗れただけに、喜びはひとしお。「右手を高々と上げて10万人の観客にアピールする。「ウィン、ウィン(勝った、勝った)」。ニコニコ顔で検量室に引き揚げてきた。

「この馬、強いね」。藤沢和雄師(52)は冗談を飛ばしながら関係者と握手を交わした。昨年暮れの有馬記念以来となった前走の宝塚記念では5着に終わった。初めて早めに先頭に立つ競馬をして目標にされたというアヤもある。意識して強いけいこをしたが、結果的に冬場に休ませたのも原因のひとつだと師は分析していた。馬体面でもいい体つきだった3歳春に比べて、当時は細くなっていた。

藤沢和師には苦い経験がある。96年のこのレースの覇者バブルガムフェローが連覇を目指しながら翌年2着に終わったことだ。「(調整もレースも)難しいのかな」。今回は昨年の年度代表馬の底力を信じることにした。「数字や体重にとらわれず、見た目で判断すればいいんじゃないか」。

自然体のリラックスムードはスタッフも同じだった。「我々がけいこで色気を出して追ったり、連覇を口に出して言うとクリスエスは雰囲気で察知する。それがプレッシャーやストレスになる」と松田助手は説明する。結果的に馬体重は534キロと前走より10キロ増えていたが、上背は伸び、体に幅が出ていた。気持ちものびやかで道中は折り合えたし、しまいもフラついていた有馬記念時と違って、まっすぐ伸びていた。

これで今年初めて関東馬がG1で勝利をモノにすることができた。「レディブロンドも先週のゼンノロブロイもチャンスがあったんだけど。(関東馬がG1で勝てないことを)私にだけ聞かないで」。師は最後に報道陣を笑わせた。

勝ち時計の1分58秒0は今春改装された東京芝2000メートルのコースレコード。「今までで一番強い勝ち方だった。昨年の中山からコースが替わって、あらためて強さを証明してくれた。今年はあと2つ(JC、有馬記念)取らせてほしい」。名誉をばん回した「東のエース」への師の最大級の賛辞と、復活宣言が飛び出した。【赤塚辰浩】

◆シンボリクリスエス▽父 クリスエス▽母 テイーケイ(ゴールドマリデイアン)▽牡4▽馬主 シンボリ牧場▽調教師 藤沢和雄(美浦)▽生産者 T・ワダ(米国)▽戦績 13戦7勝▽総収得賞金 7億3835万8000円▽主な勝ちクラ 02年青葉賞(G2)02年神戸新聞杯(G2)02年天皇賞・秋(G1)02年有馬記念(G1)

(2003年11月3日付 日刊スポーツ紙面から)※表記は当時