有馬記念ウイークの全休日明け(火曜朝)、最初にすれ違った助手に馬上から声をかけられました。「面白そうだよね、今年の有馬記念。俺は見てる方だからさ。すごく楽しみだよ」。みんながワクワクする、力の拮抗(きっこう)したグランプリになりそうです。

先週の「【美浦便り】有馬記念1週前追い切りにしびれた!関東馬みんなメチャメチャいいです!」で書きましたが、関東馬はどの馬も雰囲気がいいんです。人気上位が予想される馬はもちろん、おそらく人気上位にはならないであろう馬も…。まだ追い切り前の時点ですが、枠順次第でどの馬も一発が期待できそうな…、そんなムードがあります。

土曜の中山大障害も楽しみです。絶対王者オジュウチョウサンが引退し、春の中山グランドJを勝ったイロゴトシは秋初戦の東京ハイジャンプで6着に敗れ、今回は出走せず。ジャンプ界は戦国時代です。

今年の大障害登録馬を見てみると、昨年覇者ニシノデイジー、今年重賞2勝のジューンベロシティ、前走東京ハイジャンプを勝ったマイネルグロン、京都ジャンプSを勝ったエコロデュエル、デビュー2年目でリーディングを狙う小牧加騎手のネビーイーム、春の中山グランドJ最先着(3着)のダイシンクローバー、先行力が魅力のビレッジイーグル、4000メートル級の大障害コースで強い10歳馬ケンホファヴァルト&11歳馬マイネルレオーネ、今回が57戦目でメンバー最多キャリアのマイネルヴァッサー、前走福島で好走したヤップヤップヤップ、しぶといギガバッケンなど…、有馬記念に負けじと面白く、どの馬にもチャンスがありそうで、難解な一戦になりそうです。

そして、先週阪神のオープンを除外になったハーツシンフォニーも中山大障害に参戦予定です。今朝、調教にまたがった蓑島騎手は「フワフワしていて、ちょっと変わったところがあるのかな。エコロデュエルときょうだいというのは知っていますし、血統的な魅力も感じます」と印象を語ってくれました。

01年デビューの蓑島騎手はデビュー3年目から障害競走に騎乗しています。障害競走に乗り始めてから、今年ここまでに自身最多の年間8勝。7月の新潟ジャンプSをサクセッションで制し、活躍の目立つシーズンになりました。「巡り合わせが良かったなと思います。いい馬に乗せていただいて、勝つことができると、いいループになるから。(新潟ジャンプSは)ものすごい速いペースで流れていたので、いい位置でプレッシャーを受けずに走ることができました。馬も強かったですね」。落馬も多かった1年ですが、「乗りたい馬がいてくれますから。乗りたいっていう気持ちが大事だと思います。痛いときもあったけど、乗りたい馬に乗れるなら頑張ろうっていう気持ちになりますから」と熱い言葉で振り返ってくれました。今秋は菊花賞を勝ったドゥレッツァの1週前追い切りに騎乗するなど、各厩舎からも信頼の厚いジョッキーです。

蓑島騎手といえば、バシケーンのことを聞かなければ…。10年の中山大障害を12頭立て10番人気で制し、同年の最優秀障害馬に輝いた馬です。「今の自分ならバシケーンをもっと勝たせてあげられたと思いますし、たぶん、当時、他のジョッキーが乗っていたら、あと5勝、6勝できたんじゃないかと思います」。そう苦笑いで言った後、「でも…」と続けました。「あの大障害だけは僕じゃなければ勝てなかったと思ってます。あの乗り方は自分しかできませんから」。序盤は最後方で折り合いに専念し、大生け垣で馬群の後方へ位置を上げ、徐々に進出。最後の障害を飛越した後、大外から各馬を抜き去り、最後はゴール前でタマモグレアーをねじ伏せたレースです。バシケーン(シルクジャスティス産駒)の末脚を引き出した騎乗、強烈な差し切りでした。

「今年8勝させてもらったことで、10勝以上しているジョッキーたちのスゴさを知りました」。蓑島騎手は24日、28日の騎乗予定がないため、中山大障害が今年のラスト騎乗になります。熱い言葉を聞くことができて、暮れの大一番の勝ち方を知っているジョッキーの手綱さばきが楽しみになりました。戦国時代のジャンプ界。連覇か、新星が誕生するのか、それとも古豪たちの大駆けがあるのか、土曜の中山大障害、必見です。

明日は水曜日。有馬記念、中山大障害へ向けた追い切りがあります。体調管理をしっかりしながら、各馬の動きを見届けたいと思います。【木南友輔】