千両“菊”役者だ! G1初挑戦のエネルジコ(高柳瑞)が、クラシック最終戦を制した。

序盤は後方に待機して徐々にポジションを上げ、直線で鮮やかに抜けだした。クリストフ・ルメール騎手(46)は秋華賞に続く2週連続G1制覇。菊花賞史上初の3連覇で、武豊騎手に並ぶ最多5勝目となった。

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雨に煙る淀の地で、エネルジコがその名の通り「力強く」タイトルを手にした。導いたのは今週も、今年もルメール騎手だった。

前走の新潟記念と同様にゆっくりと発馬した。1周目は後方待機。鞍上は「今回は長い距離で、スタートがあまり良くなくても優しく乗りたかった。1周目で軽い騎乗ができた」と独特の表現で前半のレースぶりを説明した。勝負の後半。3コーナーから進出を開始し、4番手で直線に入ると、一気にギアアップ。「豊さん(マイユニバース)の後ろでトップポジションを見つけて、最後長い脚で伸びてくれました」。ラストは抜群の反応でグングンと加速し2馬身突き抜けた。ゴール後には「YES!」と力のこもった声を上げ、喜びを表した。

特別な1勝だった。「菊花賞3連覇は全然信じられないですね。勝つのが難しいレースなので」。史上初の偉業で、武豊騎手に並ぶ最多5勝目を挙げた。秋華賞に続く2週連続G1制覇、今年の年間100勝目にもなった。「京都に住んでいるから、京都でG1を勝ったのは僕にとって特別ですね」とホオを緩めた。

これまですべて順調だったわけではない。名手は20年以上前を回想し「日本に来た時は勝利のリズムを持てなかった」と漏らす。02年からJRAで騎乗する機会を得たものの05年有馬記念まで重賞を勝てなかった。20代前半の異国で訪れた苦しい時期。それでも、あきらめず努力した。「真面目に乗りました」「馬のストロングポイントをすごく確認しました」。1頭1頭と真摯(しんし)に向き合い、技術を高めて、今がある。

チーム力も光った。高柳瑞師は「疲れを引きずるタイプ。ただ状態を見ていると(調整は)うまくいっていました」と話す。早めに栗東に移動。体質の弱さを考慮し、間隔の詰まるトライアルではなく、8月31日の新潟記念から中7週で臨戦した判断も功を奏した。12キロ減でも馬体は光り、筋肉は盛り上がっていた。

これで5戦4勝。前走で半馬身屈した5歳牝馬シランケド以外には負けていない。同じ世代との対決は無敗で終えたエネルジコ。名手とともに、さらなる高みへと駆け上がっていく。【原田竣矢】

◆エネルジコ ▽父 ドゥラメンテ▽母 エノラ(ノヴェール)▽牡3▽馬主 (有)シルクレーシング▽調教師 高柳瑞樹(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 5戦4勝▽総獲得賞金 3億1821万9000円▽主な勝ち鞍 25年青葉賞(G2)▽馬名の由来 力強く(伊)。父名、母名より連想