太平洋から日本海へ。「直江津集合」を合い言葉に日本を横断するイベントに念願の初参加を果たした。「8月27日の土曜日18時までに上越市船見公園に到着していること」。これを目指し、26日未明に神奈川県央の自宅を出発。碓氷峠を越え214キロ走って夕方に上田に到着し、ここで1泊した。
天気予報によると、翌日も午後から雨で雷の可能性もあるという。上田からは最短で100キロ先の直江津に午後6時までに着けばいいのでのんびり出発するか、戸隠回りでもいいかなと思っていたが、やはり雨が落ちる前に直江津入りしたいと考え直し、集合当日の27日は午前6時前に上田を出発。この時点で天候は晴れだった。
千曲川沿いの国道18号を北上し、川中島古戦場跡に着いたのは午前7時過ぎ。ここで18号にいったん別れを告げ、長野駅方面へと走る。地図で見ると国道が大きく迂回していたので善光寺付近を通ってショートカットするルートを引いたつもりだったのだが、これが落とし穴。市街地を抜けると道はどんどん上って行く一方。それも10%以上のきつさ。途中で「標高634メートル 県境まで20キロ」という標識があったのでここがピークかと思ったが、下る様子もなく相変わらず上り続ける。やがてトンネルが見えてきた。「坂中トンネル」というらしいが、上りはこのトンネルを抜けても終わらなかった。普通に考えれば分かることだが、国道のショートカットの県道が楽な道であるはずがない。後で仲間に聞くと、ここは坂中峠と言う、立派な峠だった。ただ、下ったところは開けて見晴らしも良くひまわりも咲き、登坂のつらさは一瞬で忘れた。
実はこの坂中峠を上るときも空に雲がかかってくれた。こんなに天気運を使ってしまっていいのだろうか。
飯綱高原の先で国道18号に復帰。するとすぐに高崎から150キロ地点、そして157キロ地点の野尻湖となり、ここから新井付近まで約30キロの豪快な下りが始まり日本海へと進む。雪国なので路肩が広く取ってあり、後方からトラックが迫っても怖くない。長い距離を気持ち良く下ってゴールというのも「直江津集合」の魅力のひとつか。自走で帰るのでなければ、この坂を上り返さなくていいというのはもの凄く嬉しい。この時点でゴールしたも同然の気分だ。
午前9時半ごろ、新潟・妙高市に入った。自転車で新潟まで来るのはブルベ「(野辺山600)」で三国峠を越えて以来2度目だが、この時はスタート地点まで輪行で行っているので完全自走では初めてだ。また、過去に会社の保養所が赤倉温泉にあったことがあり、小学生だった娘たちを連れて毎年のようにスキーにきていた頃があった。妙高に来るのはそれ以来だが、まさかここまで自転車で来る日が来ようとは。あの時の自分に教えてあげたいものだ。
国道18号は終盤に自転車通行不可の区間があるので、寺町交差点で県道へ迂回する。交差点が立体交差で気がつかず直進し、またナビに何度目かの「方向転換」指令を出されて苦笑い。平坦となった道を進み、高田城址公園に寄った後はゴールの船見公園へ向けて一直線。最後数キロになると「もう終わりか」と名残惜しくなった。
直江津駅近くの日本海ひすいラインの跨線橋を越え、そのまま直進するとやや上りとなった先の道は消え、目の前に日本海が広がった。午前11時40分。ついに直江津にたどり着いた。そして集合場所の船見公園に向かう。この日の走行距離は108キロで獲得標高は670メートルで、下降したのは1091メートルと比較的楽なライドだった。そして雨予報にもかかわらず、一度も降られることはなかった。サドルバッグに入れたレインウエアと防寒具は持ってきただけに終わった。嬉しいやら悲しいやら。
日本海にタッチし、太平洋から持ってきた海水を注ぐ。ランチは直江津駅前で買った「鱈めし」を日本海を見ながら頬張った。
LINEによると1人ゴールしているはずだが集合場所には誰もおらず、ホテルのチェックインにもまだ時間があったため、直江津港へ行った後、日本海沿いを何となく走っていたら久比岐(くびき)自転車道を発見した。糸魚川までの32キロをつないでいるようだ。行けるところまでと思って走り出したが、しばらくしてポツポツと雨が降り出したのでUターンしてホテルへと急いだ。
シャワーを浴びた後、LINEを確認すると「長野は雨。新潟も雨」という中、続々と仲間たちがゴールしていた。走るコースや時間はバラバラだが、こうやってLINEでお互いの状況や情報を共有することで知らない同士でも「みんなで直江津を目指すんだ」という一体感が作られた。今回は初参加が多かったが「ひとりではない」と勇気づけられたなど、このグループトークは好評で、同じコースを走るブルベとはまた違った楽しさを味わった。
再びゴールの船見公園へ行ってみると、なんとウエルカムボードが登場。「よくぞここまで自転車で」と大歓迎してくれた。
集合時間の午後6時が近づくと奇跡的に雨が上がり虹もかかった。そして参加者が輪になって自己紹介をしながらそれぞれの直江津までのルートや思いを短い時間で熱く語る。同じようなルートでも途中で寄り道したり、峠を入れたりグルメを満喫したりとそれぞれが「直江津集合」を楽しんだようだった。中には翌日は佐渡へ渡って走るという「アフター直江津」まで満喫するベテランライダーもいた。コース的には高崎から碓氷峠というルートが多く、国道20号(甲州街道)~松本~国道19号という人も。大回りしてトータル600キロ近く走った猛者もいた。
残念ながら日本海に沈む夕陽は拝めなかったが、「また来年」と再会を誓い、暗くなり始めた頃に皆が帰路につき始めると、待っていたかのように雨がまた降り出した。さてと、来年のコースの検討を始めるとするか。(この項終わり。来年へ続く)【石井政己】































