米連邦捜査局(FBI)が、北京オリンピック(五輪)に出場する米代表選手らにサイバーセキュリティーを理由に個人の携帯電話を現地に持参しないよう警告していることが明らかになった。

分散型サービス拒否攻撃やランサムウェア、データ盗難など幅広いサイバー攻撃を受ける可能性があるため、プリペイド携帯を使うよう促していると米ピープル誌などが伝えている。

FBIは現時点で、五輪に対する具体的な脅威は認められないとしているが、「ネットワークとデジタル環境に十分注意して行動することを推奨する」としている。

米国以外にもカナダやドイツ、英国、スウェーデンなど欧米各国が、中国の通信回線を通じて個人情報が盗まれたり、行動を監視されることを警戒し、自国選手に個人のスマホを持ち込まないよう呼びかけているという。

英BBCも先月、選手や報道陣を含む五輪参加者全員が使用を義務付けられている公式アプリ「MY2022」について、データ漏えいにつながる可能性があると専門家が指摘していると報じていた。北京五輪では、すべての外国人が出発14日前にアプリをダウンロードし、新型コロナウイルスに関する情報を毎日記録することが義務付けられているという。

FBIのレイ長官は先月末、北京が米国の技術情報を盗もうとしたとみられる2000件を超える疑惑について捜査を開始していると明かしていた。米国は224人の選手を北京に派遣することになっている一方、バイデン政権は中国の人権侵害を理由に政府関係者の派遣は見送っている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)