オリンピック(五輪)は間違いなく特別ですね。世界各国の選手が出場しますし、4年に1度しかない。僕が現役の間に日本で開催するオリンピックに出場するチャンスがある。全部がたまたま、運命的にそういうタイミングが来たので、いっそうの特別感はあります。

昨年は3月のメキシコとの強化試合と11月のプレミア12のメンバーに選んでいただきました。真っすぐに強い印象もありますし、日本の野球とはちょっと違うスタイルなのかな、と思って試合に臨みました。ちょうどその年のオフ、キャンプで習得に取り組んでいたフォークで三振を取ることができました。対戦したのは3人だけですが真っすぐで押すこともできて、成功体験の1つになりました。

プレミア12は右肘の状態が良くなく、辞退となってしまいました。自分自身の経験値やレベルアップへの要素があったと思うので、投げたかったなという思いはあります。涌井さんから08年北京五輪のメンバーと今でも連絡をとっている、と話を聞いて、うらやましいなと。キャリアのある選手と普段から接することで自分のレベルも引き上がる部分はあると思うので、参加したかったですね。

韓国との決勝戦は自宅のテレビで見ていました。緊張感がすごいなと。その雰囲気の中で(山崎)康晃や甲斐野といった投手たちが、大事な場面で決め球を投げきるシーンが印象的でした。救援投手にとって打者を仕留めきるウイニングショットになる球はすごく大事だなと思ったので、今も意識してやっています。

そういえば、山陽高校時代の野球部長が80年モスクワ五輪で走り幅跳びの選手だった吉本敏寿さんでした。本人から当時の話を聞くことはなかったですが、周りから「出られなかったけど、この人はすごいんだよ」と聞かされてました。他競技では水泳の北島康介さんの活躍は印象に残っています。大事な場面で自分の力を出し切って金メダルをとる、記録を出すことは本当にすごい。どんな気持ちで泳いだのか、スタートしたのか、準備をしたのか、同じスポーツをやっている身として気になります。「前日は寝られましたか?」などと記者さんみたいに質問してみたいですね。

東京五輪に出ることができれば「森原康平はこういう人なんだ」と引退してからも印象に残ると思う。将来、子どもに「パパすごかったんだよ」と自慢したいですね(笑い)。東京五輪が1年延期されたので稲葉監督も今年のピッチングを見てくれていると思う。ただ、とにかく今は目の前のイーグルスのことをずっと考えています。9回を任されたばかりなので、まずは今のポジションで結果を出したいです。(311人目)