東京オリンピック(五輪)は近くでやるのに、行くのは簡単ではなく、まだ遠い。それが今です。でも、だからと言ってやるべきことが変わるのかと言えば、そうではない。勝っている時も、負けが続いても、やるべきことは同じ。一生懸命に練習して、一生懸命に走る。東京五輪という目標へ、1日1日集中して、体の声を聞いて、大切に過ごしています。

昨年は日本選手権に出ることができませんでした。過去にアキレス腱(けん)を故障しており、自然とかばう動作が身に付いてしまいました。今は痛みは気にならないのですが、故障当時は特に右足の痛みが強く、強い力を入れること、しっかり体重をかけることを無意識に怖がるようになっていました。結果として、ストライドも小さくなっていたのだと思います。

昨秋から練習の拠点を移し、このシーズンオフは今の自分を受け入れることから始めました。一度立ち止まって、しっかり時間をかけて、体の状態に目を向けました。客観的な視点も受け入れて、課題への対応を明確にし、トレーニングで着実に改善しています。春からの試合では、しっかり手応えをつかみたいですね。一度手応えさえつかんでしまえば、今までの経験が役立ち、いい方向に向かっていくと思っているので、自分に期待しています。

気持ちもずっと変わらず、前を向いています。五輪が1年延期になったことで、私にとってはチャンスが残りました。今はそのチャンスをものにするために、努力をしないといけないと思っています。運だけで五輪に出られるならば、よいですが、そうではない。過去の自分に執着することなく、新しい自分を作り上げていく気持ちでいます。すべての経験がプラスになると思い、日々、いろいろなことに取り組んでいます。

東京五輪の後には、たくさんの選択肢がありますよね。どれを選ぶのかは、五輪が終わった後に考えることにしています。もっと結果を出せば、もっと選択肢も増えるかもしれない。だから、まずは東京五輪に向け、今までの経験も大切にしつつ、新しい事にも怖がらずに挑戦していきます。(336人目)