オリンピック(五輪)5大会連続メダリストで、日刊スポーツ特別コメンテーターを務める谷亮子さん(48)が柔道の最終種目、混合団体戦を観戦。そこに柔道の醍醐味と、ジェンダー平等を掲げるパリ五輪の象徴ともいえる姿を見た。
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柔道競技の最終日を締めくくる混合団体戦で、日本は銀メダルを獲得しました。東京五輪覇者の地元フランスとの決勝戦。私も柔道の盛んなフランスで開催された世界選手権でタイトルを獲得するなど、数々の試合をパリで経験しています。割れんばかりの大歓声の光景が目に浮かびました。
チームジャパンの銀メダルが、素晴らしいと思うのは、人間味あふれる瞬間がいくつもあったからです。両国をたたえ、互いをリスペクトする。パリの大歓声からは、柔道の神髄を脈々と受け継ぐ観客の応援がありました。選手は力の限りを尽くした。戦いには柔道の醍醐味(だいごみ)にあふれ、ジェンダー平等を掲げるパリ大会の象徴ともいえる姿も見ることができたのです。
男女平等を推進する国際オリンピック委員会(IOC)の意向もあり、男女3人ずつの6人で競う混合団体戦は前回2021年東京大会から始まりました。男女とも階級の区分けが3つのため、普段の階級と異なる選手が出ることがあります。今回、高山選手、角田選手は体重の階級が自分より大きな階級の選手に勝ちました。まさに柔よく剛を制すー。これも柔道の魅力です。
第6試合にはミセス選手の高市未来選手と、ママさん選手のアグベニェヌ選手が対戦。2年前に長女を出産したアグベニェヌ選手はマクロン大統領に直談判して、選手村に育児室の設置を実現させています。2人の姿は結婚、出産しても競技を続ける選択肢が増えた証しで、希望の光になったのではないでしょうか。
日本柔道の金メダルは前回東京大会の9個から3個に減少。女子のメダルは過去最少2個にとどまりました。今大会は一本負けした日本選手も多かった。海外勢のレベルアップを感じます。前回東京大会はコロナ禍で、海外の選手たちの行動範囲が規制され、減量などの調整に影響したと聞いています。今大会はだれもが最高のパフォーマンスを出せたことも海外勢の勢いにつながったのかもしれません。日本としては練習方法、相手の研究、精神面を含めて再び世界をリードする強化策の確立が急務です。(日刊スポーツ特別コメンテーター・谷亮子)



