日本の競泳陣が獲得したメダルは金2、銀2、銅3の計7個。ロンドン大会の11個(銀3、銅8)に総数では及ばなかったけれど、目標としていた「複数の金」は達成しました。満足できる部分もあるし、課題も残った大会です。

 今日のメドレーリレー決勝の順位が象徴しているように、世界の短距離のレベルが予想以上に上がっていました。日本がメダルを取った種目はすべて200メートル以上です。100メートル、50メートルでは1つも取れませんでした。やはり100メートルのメダリストがいなければ、メドレーリレーの表彰台は厳しい。短距離の強化が、日本チームの今後の重点目標になるでしょう。

 初出場だった中村選手、小関選手は、リレー決勝を経験したことで「自分が日本の短距離のトップ」という自覚が生まれたと思います。中村選手は今大会で47秒99という日本記録も樹立しました。2人ともまだまだ伸びるはずです。

 4年後は東京五輪。3個のメダルを獲得した萩野選手はこれから競泳界の中心として、内容も結果も残すエースになってくれるでしょう。初めての五輪を経験した池江選手や今井選手ら若手も成長が楽しみです。競泳陣全体が「日本は強い」というプライドを持てるよう実力をつけて、大舞台に戻ってきてほしいですね。(伊藤華英=北京、ロンドン五輪代表)

 ◆伊藤華英(いとう・はなえ)1985年1月18日、埼玉県生まれ。00年日本選手権に15歳で初出場。01年世界選手権で初代表入り。08年北京五輪で背泳ぎ2種目出場、12年ロンドン五輪は自由形リレー2種目出場。12年秋に現役引退。順大大学院博士後期課程。173センチ。