ニッカンスポーツ・コム評論家の伊藤華英さん(31)が、リオ五輪で多くのメダルが期待される日本競泳陣の有力選手の泳法を解説する。第2回では、女子100メートルバタフライなど、日本代表史上最多の7種目に出場する池江璃花子(16=ルネサンス亀戸)を分析した。

 池江璃花子(女子100メートルバタフライほか)

 これまでいろんな選手がいましたが、今まで見たことない泳ぎ方です。見た感じ、楽そう、というか、どこに力が入っているのかなという泳ぎ。水と一体化している感じですね。腕をかいて足を蹴って、という概念じゃなく、全身を使って進んでいる。滑らかで、いつまでもどこまでも泳げそうな泳ぎです。

池江璃花子
池江璃花子

 「雲梯(うんてい)」を小さいころから使っていたという話も聞きました。普通バタフライだと、泳いでいるうちに首とか疲れてくるんですけど、首に力が入らないで脇の下、広背筋や前鋸筋を使いながら楽に水をつかんで後ろに持っていく作業ができるんじゃないでしょうか。肩、僧帽筋や首に力が入って疲れるとストロークが短くなり、ラストまで伸びやかな泳ぎができなくなる。スイマーの課題なんですが、彼女の場合、水の中を滑るように腕も足も一体となって泳げる。

 この泳ぎでどこまで彼女が勝負できるか、みどころです。最後まで伸びやかな泳ぎでいければ日本記録更新や、決勝進出も可能なのではないでしょうか。

<女子100メートルバタフライ>8月7日午後10時(日本時間8日午前10時)過ぎに決勝を実施。池江はほかにも自由形3種目を含む日本代表史上最多の7種目に出場予定。

 ◆伊藤華英(いとう・はなえ)1985年1月18日、埼玉県生まれ。00年日本選手権に15歳で初出場。01年世界選手権で初代表入り。08年北京五輪で背泳ぎ2種目出場、12年ロンドン五輪は自由形リレー2種目出場。12年秋に現役引退。順大大学院博士後期課程。173センチ。