<リオ五輪:アーチェリー>◇12日◇個人準々決勝

 12年ロンドン五輪の男子個人銀メダリスト、古川高晴(32=近大職)が準々決勝で涙をのんだ。エリソン(米国)にセットカウント2-6。「風を読み間違えた。冷静な判断ができていなかった」。読みで勝負が決まった。

 第2セット。常時風速3メートル前後の風が右から左へと吹いていた。時計の9時方向へ古川の矢は流れ、30点満点の25点。28点の相手に軍配は上がり、セットカウント1-3となった。古川は風を左から右へと読み違い、第3セットも27-28で落とし4セット目が今回の最終セットになった。

 「あほか。あの試合なんやねん。お前、捨てたやろ。無抵抗やないか。何が五輪の決勝や」

 4年前、こうまくし立てられた。ロンドンから近大の恩師、山田秀明監督へかけた銀メダルの報告電話。褒められると思ったが違った。決勝で強豪・韓国の呉真■に敗北。気持ちでの完敗を見透かされていた。

 エリソン戦の敗戦後、4年前と同じく、山田監督の携帯電話を鳴らした。「とりあえず気をつけて帰ってこい。すぐに東京の準備をしないといけないぞ」。古川は試合後「気持ちは4年後、東京で」と語った。心技体に、読み。五輪の借りは五輪で返す。

※■は火ヘンに赤二つを横に並べる

 ◆古川高晴(ふるかわ・たかはる)1984年(昭59)8月9日、青森市生まれ。青森東高-近大。高校時代に希望していた弓道部がないためアーチェリーを始め、3年時に国体で個人優勝。全日本選手権3度優勝。12年ロンドン五輪個人銀メダル。174センチ、89キロ。