競泳萩野公介が、400メートル個人メドレーで悲願の金メダルをつかんだ。勝った、撮った、こん身のガッツポーズだ。喜ぶ理由があった。8日付紙面に掲載された、力こもったその写真の裏には、カメラマンの戦いがあった。

 五輪には世界各国からカメラマンが来る。撮影位置には制限があり、この日の競泳も厳しかった。ゴールした勝者は、スタンドへガッツポーズする。その表情をとらえられる位置に入りたい。しかし、事前に割り振られず、私はプールの逆サイドだった。

 すると、希望する撮影ゾーンの外国メディアから「返上」が発生。空いた1席が日本メディアへ巡ってきた。数社による争奪戦の勝負方法は、じゃんけんだった。

 私は席を勝ち取った。萩野は目の前で拳を振り上げた。まだ五輪は始まったばかり。いかにして素晴らしい写真を撮るか。カメラマンの戦いも、ブラジルで繰り広げられている。【清水貴仁】