10日の体操男子個人総合。わたしの狙いは、五輪連覇がかかる内村だった。

 最後の鉄棒を終え、他国選手の結果待ちをしていた内村を狙う。だが、周りには中継のテレビカメラや他の選手らがいて内村は見えにくい状況だった。撮影が許可された位置はカメラマンがひしめき、身動きがとれない。焦った。

 最終結果が出て内村の逆転優勝が決まった。駄目かな、と思った瞬間に内村がこちらに向かって駆けだしてきた。両手を突き上げて歓喜する姿がきれいに見え、無我夢中でシャッターを押した。よかった、うれしいというよりほっとした。

 選手は4年に1度の五輪でメダル獲得に必死になっているが、カメラマンもメダル獲得の場面にいて、いい写真を撮れなければ一生悔いが残る。その怖さが五輪にはある。【清水貴仁】