「神の手」。五輪の舞台で一流選手が見せるプレーの数々に、観客は驚嘆の声を上げる。「商売道具」とも言えるアスリートたちの手には、いったいどんな特徴があるのだろうか。快進撃を続ける卓球女子の福原愛、女子バスケットボールの吉田亜沙美主将ら、あの手、この手を紹介する。

 ◆渡辺一平(競泳) 僕は指が長い。小指は10センチくらいで、普通の人の人さし指くらい。パドル(手にはめる練習用具)を着けても着けなくても変わらない。水をたくさんかけるので、泳ぎには有利だと思います。

 ◆鈴木聡美(競泳) マメが勲章です。大学(山梨学院大)が懸垂することで有名で。同じ高校の先輩に「やっときや」って言われていました。私、高校まではキックだけで泳いでいた。それが懸垂で肩甲骨を大きく使えるようになって、全然違うようになりました。

 ◆福原愛(卓球) 右手が左手よりも大きくなっちゃったんです。気が付いたら…ですね。3歳で始めてから、毎日練習してラケットを振ってきたからかもしれません。シェークハンドは人さし指をラケットの裏に添えるので余計に長いかも。

 ◆糸数陽一(重量挙げ) 手が小さいので親指の爪を伸ばします。バーを握った時、中指が親指の爪の先に触れてしっかり握れるからです。これが僕にとってはとても大事です。

 ◆八木かなえ(重量挙げ) 前回のロンドン五輪前は「ますかけ線」は右手だけだったんですが、この4年の間にいつの間にか両手に。努力したのもありますが、これのおかげで五輪に出られているのかな。

 ◆吉田亜沙美(バスケットボール) 左手の薬指だけが奇跡的に細いんです! 突き指などをするのは職業病。でも左の薬指は2回しかしたことがない。将来、指輪をはめるために絶対に死守。でも本当は突き指しない選手がうまいんですけど。

 ◆新井涼平(陸上・やり投げ) 血染めのやりを投げているって知ってますか? 中指の爪の先と皮膚の間が裂けて出血することが多いです。投げる瞬間に摩擦がすごくて、そこが裂けるんです。

 ◆山本聖途(陸上・棒高跳び) 僕、手が大きいんです。ポールをつかむにはやっぱり手が大きいほうがいいです。親指の付け根が少し細くなっている(湾曲している)のは、ポールをつかむことが多いからかも。

 ◆田代未来(柔道) 小さい頃からずっと相手の道着をつかんでいるので、平常時で指が内側に曲がってます。逆に伸ばしたりするのがつらい。指回りの関節などは突き指や脱臼は常なので、曲がったりしてますね。【日刊スポーツ取材班】