<陸上:東京五輪代表選考兼日本選手権>◇4日◇大阪・ヤンマースタジアム長居◇女子1万メートル

女子1万メートルの新谷仁美(32=積水化学)が、30分20秒44の日本新記録で7年ぶり2度目の優勝を果たした。21人が出場したレースで、2位の一山麻緒以外の19人を周回遅れにする異次元の走りだった。来夏の東京オリンピック(五輪)代表に内定した。

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歯に衣(きぬ)着せない発言も新谷の魅力だ。東京五輪の持論も他のアスリートとは一線を画す。「五輪が終わった後も私たちの人生は続く。安全性は一生確保しなければならない。私たちアスリートだけがやりたい、やれることを信じても、このご時世では、ただのわがまま。やりたいけれど、人の命がかかっている中でやるのは考えないと。そこは国民の皆様の声をしっかり聞いた上で、我々アスリートは発信していかないといけない」。

堂々と、もの言うことにはリスクもある。怖さはないのか-。聞くと、矜恃(きょうじ)がにじむ。「怖さや恐怖は発信に関してはない。もちろん間違ったら指摘されるが、自分でも間違ったことは言っていないと思っている。基本、自己中ではあるが、皆さんがどう見ているか、どう思うかというのは考える」。結果を残しているから、鋭い言葉にも説得力がある。【上田悠太】