新型コロナウイルス感染拡大の影響で来夏に延期された東京オリンピック(五輪)の販売済み観戦チケットについて、大会組織委員会が希望者への払い戻しを11月から始め、同月末をメドとする期限も設けていることが24日、分かった。パラリンピックの払い戻しは12月に始め、年内に締め切る方針。来週にも担当者が方針を説明する。

これまで専用サイトを通じて五輪は約448万枚、パラは97万枚を抽選販売した。延期後も原則的に有効だが、競技日程が今夏の計画から1日ずつ前倒しの来年7月23日~8月8日に変わることで、観戦が困難になった購入者に配慮した。

一方、対象は希望者とはいえ、コロナ禍が流動的で来夏の状況がはっきり見通せない中、1カ月に満たない受付期間で、大会まで約8カ月もある段階で、チケットホルダーに難しい決断を迫ることにもなる。大会が計画通りの観客規模で実施できるかどうか政府と組織委が見極めている最中でもあり、払い戻し申請を持ち越したい購入者も一定数いると見込まれる。大会関係者は「まずは今秋。その後も丁寧に対応していきたい」とし、再実施の可能性や公式リセールも含めた対策を慎重に検討している。

払い戻しに応じる方針は延期決定直後の3月に組織委理事会で示され、7月には武藤敏郎事務総長(77)が「秋以降」と明らかにした。この時期になった理由に関しては「払い戻しシステムを構築中。完成の見込みが秋」と説明していた。