KEIRINグランプリが行われた30日、競馬界のスーパースター武豊騎手(49)が静岡競輪場でトークショーを行った。これまで競輪担当と競馬担当を行ったり来たりしている当方。特に若いころは何度となく同騎手を取材したが、この日はあらためて、その発信力に驚かされた。

武豊騎手がさっそうと登場(撮影・足立雅史)
武豊騎手がさっそうと登場(撮影・足立雅史)

ただ競輪が好きというだけではなく、競馬の話を絡めながら競輪ファンの心をつかむ術を心得ている。本業の実績はここで書くまでもないが、100年に1人の天才とはこういう人のことを言うのだろう。

「ガールズGP、ヤングGPとも車券は買っていませんでしたが、映像は見ました。ガールズは買っていれば当たっていましたね」と悔しそうな表情をつくってファンを和ませ、つかみはOK。親しい村上義弘について「同じ京都だし、古い友人関係です。すごくいい男。アスリートとしても尊敬しています。去年はケガが多くて苦しんでいたけど、それでも一生懸命トレーニングしていた。とにかく気持ちが強い。お互い、その世界ではベテランになって、会えば自然に今後の競輪界や競馬界の話題になる。重圧は感じるが、そのポジションにいられることがうれしい。彼は特にGPは強いし、頑張ってほしい」と言うと、大きな拍手が起きた。

トークショーを行った武豊騎手(撮影・足立雅史)
トークショーを行った武豊騎手(撮影・足立雅史)

本業との類似点については「競輪を見ていても自分たちのレースと重ねてしまうところがある。最後の数センチで勝負が決まるので(ゴール直前で)馬の頭を出すのは(競輪の)ハンドル投げと同じですね」と興味を誘い、「スタート時に何を考えているのかなど、メンタル面について(競輪選手に)聞いてみたい」と真剣な表情で続けた。

そして「ファンや関係者の期待に応えたいと思うのは競輪選手も自分たちも一緒。いつも競輪は現場で見るようにしているが、刺激を受けるし、帰りには必ず『よし、頑張ろう』と思う。来年も1月5日の金杯から乗りますので、競馬も応援よろしくお願いします」と言って、大声援を浴びていた。

ちなみに、予想は「脇本選手と村上義選手を軸にしたBOXと、脇本選手から単騎3人へ流す」と話しており、今年はちょっぴり残念な年末だったかもしれない。

ただ、無念にも落車した村上義は幸いそれほど大きなケガではなさそうで、レース後「少し休んでから、また頑張ります」と話していた。武豊騎手ともども、2019年も応援していきたい。【栗田文人】