私を揺さぶる、グランプリ-。12月16日からボートレース住之江で開幕する1年の総決戦、SG「第40回グランプリ」に向けた特別企画。「Road to THE GRAND PRIXキャンペーン」と題した企画の第4弾としてトップレーサーの桐生順平(38=埼玉)にスポットライトをあてる。GPを勝つために必要なものとは何か? 張り詰めた空気の中で、人知れず注視していることや大会前後の思いなど、大舞台の裏側をありのままに語った。(取材日=10月5日)
◇ ◇ ◇
桐生順平が考えるレーサーにとって最も大事なもの。それは“運”だ。「運をたぐり寄せる人が年末に行けますし、実力、努力など、他にもいろいろと必要な要素はあるけど、レースだけでなく、生きる上でも運が一番大事だと思っています」。ボートレースは巡り合わせに左右される面はぬぐえない。エンジン、ボートの抽選から始まり、GPにおいては、枠番の抽選もある。毎年、その明暗が話題を集めるが、桐生が考える運の良さとは、決して、1枠を引くことだけではない。「伸びる人の隣(のコース)になったり、自分の内側の人がスタートを遅れたりとか…。そういうこともまとめて、運だと考えています。だからこそ、運気が巡って来た時には逃がしたくない」。
17年の住之江。初めてGPを制した時がそうだった。トライアル2nd1回戦を2着、2回戦を1着。優勝への道筋が少し見えてきた運命の3回戦。進入争いがあり、1枠ながら、深いインコースになった。1Mで石野貴之にまくられ、航跡の上で、もがいた。優勝戦1枠が遠ざかったように思えたが、2Mの全速ターンで4番手に浮上。そして、2周1M、先行2艇が競り合った隙を突き、2番手に上がり、2着。優勝戦1枠につなげた。絶体絶命のピンチを脱したのは、実力と経験値があったからこそ。しかし、先行2艇が競り合ったあの瞬間は、優勝への神風が吹いたとしか思えないものだった。
桐生には、ひそかな楽しみがある。「人を見るのが好き」。特にGPのトライアルにおいて、展示を終えた後、6選手が集う本番前控室での人間観察は習慣になっている。自らはヘルメットのシールドを下げ、プラスチック越しに、ライバルを見る。「ぐっとレースに入り込む人なのか、それとも、視野を広げていく人なのか、それを見せる人なのか、見せない人なのか。極限状態だからこそ、人間性が出ると思います」。
桐生自身もレースに向けて、切迫する時。その瞬間がレーサー冥利(みょうり)に尽きるという。「あの緊張感を味わえることがうれしい。(トライアル2ndは)たった4日ですけど、すごく長く感じます。精神が削られますし、肉体疲労も他のレースとは全然違う」。大会前には走りたくない…という感情を抱くこともあるという。しかし、大会後、休養を取り、年が明けると、渇望を抑え切れない。「また、あそこの場所に行きたいなと。そう思うということは(GPが)面白いんだと思います」。水面だけでなく、その裏側でも、頂上決戦の魔力に取り憑かれている。
これまで、平和島、大村でもGPを経験した。しかし、感情の高ぶりを誘発するのは、聖地・住之江だと話す。「GPは住之江。そう思っています。レースをしている時の雰囲気が(他場とは)何か違います。具体的に何? と言われたら分からないけど」。17年に優勝、19、24年には優出2着。全レーサーの中でも、住之江GPの実績は上位に入る。2度目の戴冠を目指し、流れをつかんでしまえば、絶対に手放さない。





















