米国戦を仮想ドイツとして組んだのなら、マッチメークは大失敗だね。まず、相手バックラインのスキルが低すぎて、前線にいいボールが出てこなかった。日本のプレスが効いて、相手MF陣もFW陣も戻りながらボールを受けていた。これじゃ、その次の展開も期待できない。中盤でもDFラインでも、日本の餌食になりやすい展開だった。

日本は序盤、FW前田を中心に、3人が相手DFに積極的にプレスをかけた。これで相手を慌てさせて主導権を握った。しかし、これがドイツ相手ならどうか。まず米国戦のようにDFラインを高く保つことは難しい。その中で、日本の前線3人がプレスをかけてくるなら、その3人とその後ろのMF陣(守田、遠藤ら)の間にできるスペースを有効に使ってくるだろう。

こうなると、DFラインより高くし、攻撃を組み立てることもできる。質の高い1本のパスでシュートにつなげられる。人数をかけた日本の前線からのプレスを、むしろ歓迎するかもしれない。

米国は日本が比較的に弱いと言われているロングボールによる攻めも、あまりしてこなかった。しかし、ドイツは日本の弱点を熟知している。まずプレスをかわして、前線へのロングボールとスピードある両サイドのアタッカーを使ったサイド攻撃を織り交ぜてくるはず。そうなると、90分耐えるのは難しいだろうな。

手頃な相手と手頃な練習試合で貴重な1試合を終えた。これでW杯まで実戦はあと2試合のみ。試合中、スタンドを映したカメラに日本のサポーターがあくびをしている姿があった。まさにこの試合を象徴するシーンだったね。

(日刊スポーツ評論家)

日本対米国 後半、戦況を見つめる森保監督(撮影・パオロ ヌッチ)
日本対米国 後半、戦況を見つめる森保監督(撮影・パオロ ヌッチ)