今季、柏レイソルから湘南ベルマーレに加入したMF秋野央樹(22)が東京ヴェルディ戦で移籍後、公式戦初ゴールを決めた。

 秋野は1点をリードした後半33分、中央でFW山田直輝のパスを受けたMF石川俊輝にボールを要求。パスが来ると、左足を豪快に振り抜いてミドルシュートを決めた。「俊くんに『落としてくれ』と要求して、いいボールが来た。若干、内側に入ったのでアウトにかけたら、いいところに飛んでくれた。ゴールに関わるプレーを意識してやってきた。練習していた形が、やっと実になって良かった」と振り返った。

 9歳からJ1柏一筋でプレーし、年代別代表に選ばれてきた。昨季もリーグ戦23試合に出場していたが「去年の途中くらいで、このままレイソルで試合に出ていても、のびしろがないなと感じた。違うところに身を置くべき必要がある」と思い、柏の強化担当に移籍の意思を伝えた。湘南からオファーを受けて曹貴裁監督と話をし「この人のもとでやったら、可能性が広がる。サッカーの未来を逆算した時、ここでやった方がいい」と期限付き移籍を決断。昨年末に曹監督の面談で「変わりたいです」と訴えた。

 移籍を決断した裏には、プレーの幅を広げたい、具体的には縦への推進力をアップさせたいという強い思いがあった。開幕スタメンを飾ったものの4月9日の東京V戦で先発落ちし、出番なしで終わると、その後の4戦は2試合途中出場、2試合ベンチ入りに終わった。その中、自分に足りないもの、必要なことを考え続け、先発に復帰した5月7日の町田ゼルビア戦以降、積極的に前に出る進化した姿を披露している。

 曹監督は試合後の会見で、湘南に移籍して成長した柏FW武富孝介、MF中川寛斗の名を挙げつつ、秋野に期待を寄せた。

 曹監督 後半、あそこまで出て行ってミドルを決めたのは人生で初めてだったかもしれない。それは成長したというより、本人が元々、持っていたものを我々が障害をなくし、やらせてあげるのが大事だと思った。勝ちたい、負けたくないという気持ちがピッチに落ちるのはうれしい。武富や寛斗同様に、このチームを引っ張って成長してもらって、日本のサッカーを引っ張っていける選手になってほしいと強く思います。

 秋野は「バックパスの回数が減った。前を自然に向けるようになった。後々、考えた時に、湘南に行って良かったと思えるように今はしっかりやるだけ」と前を向いた。【村上幸将】