自力突破が消滅していたアルゼンチンが苦しみながらナイジェリアを2-1で破った。クロアチアがアイスランドを3-0で下したため、勝ち点を4としたアルゼンチンが2位に浮上して決勝トーナメント進出を決めた。日本時間30日午後11時開始の1回戦でフランスと対戦する。3連勝で1位突破のクロアチアは日本時間7月2日午前3時にデンマークと対戦する。

 2試合連続で無得点だったFWメッシ(バルセロナ)が前半14分に今大会初ゴールをようやく決めた。センターライン付近からのMFバネガ(セビリア)の縦パスに反応。左足太ももの絶妙なトラップで抜け出し、左足でドリブルした後、利き足ではない右足でゴール左へ鮮やかに先制点を決めた。

 「(アイスランドと1-1で引き分けた)初戦は勝利が自分たちにふさわしかった。(クロアチアとの)2戦目も0-1になるまで良いプレーをしていたがその後崩されてしまい、不必要な2得点を与えてしまった。神様が自分たちといることはわかっていたし、自分たちを敗退に追い込むことはしないとわかっていた。ナーバスや不安という気持ちを持ちながらも、この試合に勝つと自分たちは信じていた。引き分けにされるような困難を予想はしていなかったし試合に勝ちにいかなければいけなかった」と、勝利への強い気持ちで臨んだ結果が今大会通算100ゴール目を生んだ。前回ブラジル大会の100号はブラジルFWネイマール(パリサンジェルマン)だった。

 しかし、後半9分にDFマスケラーノ(河北華夏)のファウルで痛恨のPKを与え、これをFWモーゼス(チェルシー)に決められて同点に追いつかれた。このまま引き分けると敗退となる崖っぷちにアルゼンチンは追い込まれたが、試合終了間際の同41分、DFメルカド(セビリア)の右クロスをDFロホ(マンチェスター・ユナイテッド)が右足ボレーで合わせてゴールネットを揺らし、劇的勝利で逆転で決勝トーナメント進出を決めた。

 殊勲弾のロホは「勝利が必要だった。今自分たちにとってのW杯が始まる。仲間にゴールを決めるって事を話していた。クロアチア戦のあと、自分たちは何よりも一つに団結をした。ゴールは自分の家族、ゴールがふさわしいこのチームに捧げる。アルゼンチンはこれからも進んでいく」と誇らしげに語った。メッシも「苦しんだ分だけふさわしい大きな喜びだった。ここに駆けつけた人々全てに感謝しているし、その献身的な姿勢に感謝している。アルゼンチンにいる人々もいつだって自分たちといてくれた。この代表のユニホームは何よりもまさるものだ」と胸を張った。

 サンパオリ監督は「このメンバーは気持ちと多くの反骨精神を持ってプレーした。未来に向けてこの勝利は大きなものにつながる。リオネル(メッシ)と一緒なら自分たちはロシアで大きなことをする夢を共有できる。監督としての課題はリオネル・メッシに継続的なサッカー環境を作ることだ」と語り、アルゼンチンはメッシとともに頂点を目指す。