イングランドのサッカー界で、ブックメーカー(賭け会社)をスポンサーにするクラブが増えている。

 英テレグラフ紙(電子版)によると、13-14年シーズンにブックメーカーの名前をユニホームに掲出したプレミアリーグのクラブは3チーム。それが18-19年シーズンには9チームに増えたという。イングランド2部では24チーム中17チームがブックメーカーをユニホームのスポンサーにしている。

 ギャンブル依存症などについて研究し、ギャンブルにまつわる被害を減らすために活動している英団体「ギャンブル・アウェア(GA)」のマーク・エッチズCEOは「ギャンブルに関係する広告は、ギャンブルが普通のことだと、特に子供たちに思わせてしまいます」と警鐘を鳴らす。同CEOは最近イングランド2部の関係者と会い、プレミアリーグやイングランド協会にも会談を要請しているという。

 またGAはブックメーカーをスポンサーとしているクラブの1つ、クリスタルパレスと提携。依存症の撲滅に向けた活動について協議しており、他クラブも同様のことをすべきだと主張している。エッチズCEOは「サッカークラブなどのスポーツ団体は広告等についてもっとバランスがとれているべきだし、人々が安全にギャンブルを行うための活動にもっと関わるべき」と話す。

 英ギャンブル委員会によると、英国でギャンブル依存症に苦しむ人々の数はかつての15万人から現在は43万人にまで跳ね上がっているという。GAは、サッカークラブとテレビ局がブックメーカーから収入を得て多くの広告を掲出するじっこんの関係が出来上がっており、それが依存症を助長していると考えている。クラブにはその流れに終止符を打つ責任があるとしている。

 日本でもカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法が成立。もともとあるパチンコや競馬、競輪、ボートレース、オートレースなどのギャンブルにカジノも加わることになる。近い将来、カジノの名前がJリーグクラブの胸スポンサーになることだってあるかもしれない。

【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)