全日本実業団対抗女子駅伝は27日、宮城県松島町文化観光交流館前~仙台市陸上競技場の6区間42・195キロで行われる。家電量販店で日本一の売上高を誇るヤマダ電機がトラックのスピードランナーをそろえ、駅伝でも初の日本一を狙っている。

 西原加純(27)竹地志帆(26)石井寿美(21)筒井咲帆(20)の4人が5000メートル、1万メートルで日本選手権や国体などの全国大会で上位入賞実績を持つ。4本柱とも言える4人をコースの特徴や調子の良し悪しに合わせ、自在に起用できる点がヤマダ電機の強みだ。

 6月の日本選手権では石井が5000メートル4位、1万メートル6位とチームで一番の成績を残した。7月には1万メートルで31分48秒24を独走でマークし、今季リストではリオ五輪代表4選手に次ぐ5番目。ロードの強さを踏まえ、森川賢一監督はエース区間の3区(10・9キロ)に起用する方針だ。

 高校時代は全国的には無名選手だった石井。入社2年目の昨年5区(10・0キロ)に抜擢されたときは「私が10キロ区間?」と不安が先行したが、森川監督の「大丈夫だから」の言葉を力に変え、区間4位と予想を上回る好走を見せた。今年3月の世界ハーフマラソンの日本代表入りをしたことで日本選手権では臆せず走れたという。3区なら上原美幸(第一生命グループ)や福士加代子(ワコール)といったリオ五輪代表と走ることになるが、「自分にとってもすごく良い経験になること」と対決を楽しみにしている。

 今季の実績では石井が上だが、元々のチームの看板選手は西原だ。一昨年、昨年と日本選手権1万メートルを2連覇し、14年はアジア大会、15年は世界陸上の代表入り。ラストスパートの強さは折り紙付きだ。10月の国体5000メートルでは西原が優勝し、2位が石井、3位が筒井とヤマダ電機が1~3位を独占した。

 予定通りに石井が3区に入れば、西原を1区(7・0キロ)でも5区でも、さらには6区(6・795)のいずれでも起用できる。竹地や筒井も1区や5区で十分に通用するからだ。

 一斉スタートで駆け引きも重要となる1区は、西原のようなトラックランナーの得意とする区間。単独走は苦手だが、前に見える位置に選手がいれば力を発揮する。アンカーは学生時代に経験があり、50秒差を逆転したことがある。仮に西原が6区なら、5区終了時点で20~30秒差があってもラスト勝負に持ち込めるだろう。

 3区の石井が五輪選手たちと対等の走りをすれば、後半にも4本柱のうち2人を残すヤマダ電機が初優勝に大きく近づく。