青学大の下田裕太(4年=静岡・加藤学園出)が、8区で史上初となる3年連続の区間賞を獲得し、チームの大会4連覇に大きく貢献した。箱根駅伝無敗のまま大学生活を終え、将来はマラソンで五輪出場を目指す。

 雄大な富士山を背に力走を続けていた青学大・下田が、残り700メートル地点でサングラスを額に上げた。歯を食いしばりスパートをかけると、最後は笑顔で9区へたすきリレー。「ありがとうございました!」と3年間1位を走ったコースに深々と一礼すると、待ち受けるテレビカメラにVサインで笑顔を見せた。

 下田 最後は向かい風でペースダウンしましたが、自分のベストは尽くせたし、後ろを離すことはできました。8区でも勝負を決められることを示せた3年間だったと思います。

 最終学年となった本年度は、ここまで決して満足いく内容ではなかった。昨年2月の東京マラソン出場を断念すると、夏場から故障を抱え、同10月の出雲駅伝では、左足のマメをつぶして3区3位、11月の全日本駅伝では調整不足もあり5区4位。チームも無冠に終わり「本当にキツかったですね」と振り返る。それでも最後の箱根路を前に、徐々に本来の調子を取り戻していった。

 青学大のエース格として、今や全国区の知名度を誇る下田には、沿道から多くの声援が飛んだという。下田は「過去3年間で一番、名前を呼んでもらえたレース。みんなが『僕の応援団』という感じで、本当に楽しく走れました。応援してくれたみなさんに感謝したいです」と充実した表情で話した。

 今春からは、同大先輩の一色恭志(23)と同じ、GMOに進み、マラソンを中心に競技を続ける予定。2020年東京五輪について問われると、「五輪は箱根と同じで特別な舞台。まだ力はないですが、自国開催の五輪は目指すべき場所」と話した。青学大で大きな成長を遂げた静岡の誇る長距離ランナーが、さらなる高みを目指して走りだす。【鈴木正章】